おそとでエッチ-3
「で、この後は? ドライブにでも連れて行けばいい?」
食事を終えて奈美がお手洗いに席を立った隙に、美山が上機嫌で身をのりだしてきた。
そばに寄るといい香りがする。
いつもは香水なんてつけないのに、彼もそれなりに頑張ってくれているらしい。
「……意外と美山くんも楽しそうだよね」
「え? そりゃそうだよ、奈美ちゃんみたいな背の高い子ってタイプだし。いちいち赤くなったりするのも可愛いし。あ、なになに、妬いてんの?」
「まさか。他人の恋愛なんて目の前で見る機会なかったから、面白いなあって思って」
「面白いって何だよ……ところで、まだホテルに誘っちゃダメなんだよね?」
「だめ。いちおう奈美の希望では、このあと公園で手を繋いで散歩したいんだって。雰囲気によってはキスまでならOKらしいよ」
「……逆に難しいな、それ」
頭を抱える美山に、桃子も同感だった。
さっさとヤッちゃえば簡単なのに。
手を繋いでキスをするのも、抱き合ってセックスするのも同じじゃないか。
でも奈美にとってはそうじゃないんだから、仕方がない。
「まあ、たまには健全なデートを楽しみなさいよ。どうせヒマなんでしょ?」
「えーっ、不健全のカタマリみたな桃子ちゃんに言われたくないなあ」
「わたしだって最近はね……あれっ、電話だ」
テーブルの上で桃子のスマートフォンが振動し、すぐに止まった。
見覚えのない番号。
すぐにまた着信があった。
今度はユウの名前が表示されている。
「もしもし?」
『桃子? いまバイト終わったんだけど、どこにいる?』
「美山くんと奈美と3人でファミレスにいる。あとでいつもの公園に行くけど、来る?」
『うん、行く』
「ひょっとしてさっき、別の電話からかけてきた?」
『え? ううん、かけてないよ』
「そっか。じゃあ、また後で」
……あの番号、誰だろう。
桃子の場合は知らない番号からの着信など珍しくもなかったが、なんとなく心にひっかかる。