子-3
「俺は、そこまでバカじゃありません」
ゆったりと笑顔で話しかけるその姿は
話の内容さえ聞こえなければまさに王子のほほえみだ。
言ってる内容はかなりエグイけど。
「すみれさんの思うようなセックスを俺で試しませんか?」
「エセ王子はそれで何を得するのかしら?」
「好きな女とのセックス」
「・・・その女に心がなくても?」
「すみれさんを満足させることが出来れば。
なにも接点がないよりはずっと進歩だ。
そこから恋に発展するかもしれない」
「・・・・」
よく分からない理論を真顔で言う。
エセ王子が私を好き?
「エセだって正体を私に明かして良いわけ?」
フフンと王子に笑いかければ
「明かした方が信用してもらえると踏んだんです」
信用・・・ねぇ。
「好きです。長谷川すみれさん。
あなたの望むセックスをするだけの相手でも構わない。
もう一度言います。
俺と官能小説のようなセックスをしませんか?」
その言葉に心が若干動いた。