告白-1
シーンと静まり返った体育館、黄金色の日差しが館内を照らす。
ダンッダンッ、とボールを床に叩く音が虚しく響き渡る。
「あたる、今度バスケの大会があるんだってよ。」
「そうそうー、絶対負けられないって活き込んでたしね。」
巴ちゃん達から聞いた情報を元に、放課後一人で練習に打ち込む彼に会いに行く私。
「うわっ…痛ぅ!」
ボールを弾こうとするもミスり、その弾みでバランスを崩し床に叩き付けられる彼。
「バスケ部、大会で2連敗中なの…。」
「だから余計にプレッシャー感じて、力が入り過ぎているみたいで…。」
汗を垂らし四つん這いで険しい表情で床に視線を落とす彼。
「………。」
私はそんな彼の元にゆっくり近寄り…。
「?」
何を言うでも無くタオルを差し出し、少し驚いたように振り向く彼。
「あれ、君は…。」
「お疲れ様です。」
それからお互い隅に腰を下し、私が予め買って置いたペットボトルを豪快に飲み干す彼。
「ぷはぁー、喉からっからだったから助かったぜ。」
「…頑張ってますね。」
まだ彼への緊張が解けない私はまたも敬語で話す。
「当然だ、これ以上負けは許されないからな。」
「随分追い込まれているんですね。」
「追い込まれてる?そうでないと成果は出ないからな。」
何か曇りゆきが怪しい、私が失礼な事を口にしたばかりに、元カノの巴ちゃんだったらこういう時、間髪入れずハッキリ物申すんだろうけど。でも!私は彼を救いたい。
「成果は、出たんですか?」
「はぁ?」
自分でも驚くくらい憎まれ口を吐く私、急に胸の鼓動が早まる。
「急がば回れ…、一度落ち着いてみるのも必要だと思います。」
「……。」
バツ悪そうに何を言い返すでもなく練習を再開する彼。
うぅー、そんなつもりは……。