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王子の甘い罠
【女性向け 官能小説】

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「なんで海外じゃなくて広報なんだろうね?」
「・・・僕が配属願いを広報にしたんです」

僕、ね。

「帰国子女って国は?」
「フランスです」
「え!私と同じ!奇遇ね。でも使わないとフランス語忘れない?」
「忘れます」
「そうよね。私でよかったらたまに話し相手になるわよ」
「ありがとうございます」

ふうん。王子もいい子じゃない。

「で、忘れてるか不安だったので、この本、読んでみました」
「・・・・」
「案外覚えてるもんですね〜」
「・・・・」
「最後まで問題なく読み切りましたよ。推・理・小・説」

こいつ・・・・

ガタッとテーブルの上のジョッキが多少の音を出したけど気にしない。

私は次の瞬間に王子のネクタイを結び目のすぐ下をつかんで
引き寄せた。

「あんた、エセ王子ね」

そんな私の問いかけにもさわやかな笑顔で

「失礼だな。長谷川さん。長谷川さんの名誉のために
本の内容は言ってないじゃないですか」
「・・・・」

はたから見たら、脅しているのは私で
王子は、意地悪な魔女に捕まってる図だ。

「で?何が言いたいの?」

そこでもう一度ネクタイをクイッと引っ張った。




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