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王子の甘い罠
【女性向け 官能小説】

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「よっぽど大事な本なんですね」
「え、えぇ」
「お礼にビールでも奢ってもらえませんか?」

はぁ?

早く帰りたいんですけど!

「あの・・・」
「この本、大事なんですよね?」

まぁ・・・1杯ぐらいいいけど。

「じゃぁ、いつもの居酒屋でいいですか?」
「いいですよ」

そんないきさつで、私は入社2年目の「王子」と
二人で飲みに行くことになった。

エントランスでは王子が私の手を握ったところをはっきりとみられていた。
その眼は嫉妬の目で・・・
怖っっ!

安心して。私は「王子」なんかに興味ないから。

私の手をひいてずんずん歩く王子は
居酒屋に入ると奥の席を陣取った。

ビールで乾杯すると
「長谷川さん。この本はどんな内容なんですか?」
と聞いてきた。
「推理小説なの」
と、当たり障りなく答えておく。

王子のわりにつまらない会話。
早く帰りたい。

「長谷川さんはフランス語が堪能なんですか?」
「えぇ。まぁ」
「海外の方はみなさん英語のほかに第二外国語が堪能で?」
「そうね」
「実は僕も帰国子女なんですよ」
「そうなんだ!」

へぇ。王子、ねぇ。



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