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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 3.-21

 何がしたいんだろう。自分でもよくわからない。もうやめようか、こんなこと。急に気が変わった、と別の目的地を告げて引き返らせても、明彦は怒りはしないだろう。どうせ、とにかくどこかで手でヌイてもらえばいいのだから。明彦に聞いたわけでもないのに頭の中で勝手に断じている間に、列の最前に来ていたことに気づかなかった。すぐ後ろのフェミニンな形姿をした女子大生っぽい女に、どうぞ空きましたよ、と親切に教えてもらったのに、有紗は舌打ちをして冷ややかな一瞥をしてから個室に入った。便座に腰を下ろしメッセージを入力し、暫し画面を見ていたが送信をやめた。有紗は閉じた太ももの上にスマホを置くと、前屈みになって両手で顔を覆ってじっとした。
 トイレを出た所で明彦が待っていた。
「……ごめんなさい、遅くなっちゃいました」
「ああ、混んでるよね、女子トイレって。こういうの見るたんびに、女の子って大変だなぁー、って思うよ」
 と、明彦が有紗を促すように駐車場へ歩みを向けようとしたところへ早足で追いついて彼の手を握った。車内で明らかに不機嫌だった有紗に突然絡みつかれて驚きが広がったが、すぐに消えて、拒絶する理由は全くないのだろう、そのまま手を握ってベンツの方へ戻っていった。
「これがベイブリッジ」
 大黒パーキングエリアを出ると、すぐに渡り始めた橋の名を教えてくれる明彦の声は嬉しさに緩んでいる。
「そうですか」
 唯一口にした場所に到達したのに、有紗の反応は薄い。右手の方に、横浜といえばこれ、という風景が見えていたが、橋も景色も見ずに有紗は明彦をずっと見つめていた。
「……ん? なに?」
 緩やかな上りと下りが続き、また景色に気を取られる車が多いから、前方に度々注意しながらも、明彦は有紗の視線に脈が上がっているようだ。
「いいえ」
「どうしたんだよ、急に」明彦は笑うが、ぎこちない。「……トイレに行ってから変だよ?」
「そうですかね?」
 有紗が座りなおして前を向いた。手を隣に差し伸べる。手のひらが脚に触れると明彦はピクリと跳ねた。徐々に脚の付け根のほうへ遡らせていく。
「ちょ……、有紗ちゃん」
「……前見て運転してください。事故っても保険下りない、って言いました」
「……、あ、ああ」
 ズボンの前面を手のひらで握った。中は随分硬くなっていた。上を向いていない状態から勃起し始めてしまったから、長さがある彼の男茎は頭が擡げられず苦しいのだろう、明彦は何度か腰をモジモジと左右に揺らして角度を上向きに変えようとする。
「次です」
「え……」
「次の出口で降りて下さい」
 安全運転を心がけ、勃起に苦しいのなら手を払いのければいいのに。そう蔑んでいた有紗は手で探るうちに中の形が分かってきて、幹に沿って親指と揃えた中指薬指で挟み、人差し指の爪で皺の中の亀頭を引っ掻く。
「……っ、有紗ちゃんっ」
「どうしたんですか?」
「あ、危ないよ」
「こんなふうにされて、すぐに気持ちよくなるなんて」
 有紗は股間を弄ったまま、シートの上で横向きになって明彦を見つめた。「なに考えてるんですか?」
 和みも呆れもなく笑わない。真顔で明彦を冷酷に見つめてやる。
「そんな、普通でいられるわけないだろっ」
 一般道に入ったから、信号や合流に気をつけなければならない。運転をしながらも股間に巻き起こるもどかしさが、明彦を憤懣とも取れる声色に変えた。赤信号で止まると、有紗が更に強くズボンと中の肉塊を摘む。
「普通でいられないんですか? なんで?」
「……っう、……有紗ちゃんが好きだからに決まってるじゃん」
 有紗を向いた明彦の目が朱くなって潤んでいた。隣に止まった車の視線を気にする余裕も無いらしい。
「ウソ。……誰にされたって、こうなっちゃいますよ、男の人って。きっと、男の人はみんなそうです」
 そう吐き捨てた自分の文言に明彦以上の苦悶に苛まれたから、有紗は手を離して前方を指した。「次の信号を左です」
 シートに背を付けて嘆息した。勃起させておいてつれなく放り出した有紗に、思わず明彦が舌打ちをした。そんなに腹が立つなら車を降りて置いてきぼりにすれば、運転ができないドン臭い女は途方に暮れるだろうに、そうしない。やっぱりね、と有紗が無言を保ったから車内に険悪な空気が漂う。前方に現れたアウトレットモールが目的地だと教えた。だが手前で誘導員が『満車』と書かれた札を掲げ、別の者が『臨時駐車場』として誘導灯を振っている。しばらく走ったところにあった砂利敷の空き地の駐車場も既に半分以上が埋まっていた。どこまで行っても前方から次々と現れる誘導員に導かれるままに、空きスペースに車を停めた。
 お互い無言で降りる。砂利の上はヒールの高いスリングバックでは歩きにくい。
「明彦さん」
 舌打ちをしたくせに、降りた先で有紗を待っていた明彦に手を伸ばした。明彦が近づいてくると、指を組んで手を繋ぐ。
「……ごめんなさい」


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