裏切りと凌辱の夜A & 新たな恋の始まり-1
(※前半の復讐部分にのみ激しめの拷問や人体損壊場面が出てきます。苦手な方はこの章の4ページめまでを飛ばして読んでくださいませ。5ページ目以降は平和です。飛ばしても意味はわかるようにしておきます)
坂崎に香苗たちのことを打ち明けてから一週間後、週末の夕方。
自分の部屋で出会い系のチャットやメールのバイトにいそしんでいると、坂崎から連絡が入った。
『面白いものを見せてあげよう。少し出て来ないか』
……面白いもの?
何を見せようというのだろう。
ちらりと嫌な予感がよぎる。
それでも好奇心には勝てない。
桃子はバイトを早々に切り上げ、坂崎の指定してきた待ち合わせ場所へと向かった。
いつものホテル前。
見慣れた黒いベンツが止まっている。
近寄って手を振った。
坂崎がにこやかに手を振り返してくる。
「……今日は、いったい何?」
「見てのお楽しみというところかな。さあ、行こう」
運転席に座る坂崎の顔は、後から思い出しても震えがくるほどの迫力があった。
車で走ること一時間。
着いたのは、海辺にほど近い倉庫街のような場所だった。
どこからか聞こえてくる波の音。
厚い雲が垂れこめ、星ひとつ見えない空。
もうすぐ夏だというのに、背筋が寒くなる。
しんとしたうら寂しい空間に、薄汚れた大きな箱型の倉庫がいくつも並ぶ。
壁はすべて打ちっぱなしのコンクリートで、白いペンキで書かれた番号は風雨にさらされたためか消えかかっていた。
ここは事業に失敗した知人から土地ごと譲り受けたものなのだそうだ。
「だからね、ここは僕の私有地なんだ。勝手に入ってくる人間はひとりもいない」
不粋な人間に遊びの邪魔をされると、興ざめだからね。
車を降りて歩きながら、坂崎は楽しそうに笑った。
桃子は少しも笑えなかった。