裏切りと凌辱の夜-6
「そ、そんなこと、わたしに関係ない……!」
「いいの。とにかく、桃子ちゃんは彼氏も友達もいなくなって、体もぼろぼろにされちゃえばいいの。そうしたら、わたしすごくスッキリできると思う」
そのためだけに、長い時間をかけてあらゆる嘘をつき続けた。
桃子をおとしめるような嘘を。
そして、どんなに傷つけられても親友でい続けるけなげな自分を演じる。
香苗は、心から楽しんでいるようだった。
とても正気とは思えない。
あ、と香苗が口をつぐむ。
カンカンと数人が階段を上がってくる音。
良也たちが戻ってきた。
ドアが開けられる寸前。
香苗は桃子の捲れていたスカートを元に戻し、部屋の隅で泣き真似を始めた。
いかにも怯えている、というふうに。
……こんな子だったんだ。
体はそれまでに感じたことが無いほど昂ぶっていくのに、心がすっと冷えていく。
部屋に入ってきたのは、良也以外に三人の男。
同じサークルの4年生。
いずれも卒業さえ危ういような、いい加減な男たちだ。
にやにやしながら、ぐるりと桃子を取り囲んでいく。
「おとなしそうな顔して、よくやるよなあ」
「香苗から全部聞いたぞ。とんでもない女だな」
「おい、良也。おまえの彼女だったんじゃないのか、本当にいいんだな?」
良也は桃子から目をそらし、香苗を抱きしめながら気まずそうにうなずいた。
「ぜ、全部誤解なの! わたし何も、んっ、ぐっ……」
「黙れよ、騒いで関係ない奴が来たら面倒だろうが」
口の中にタオルが押し込まれる。
シャツがブラジャーと共に乱暴にたくしあげられた。
いや、いや。
体を捩じって逃げようとする桃子を、男のひとりが背後から抱きかかえる。
右側にいた別の男が、あらわになった乳房を思い切り握り締めてきた。
潰されてしまいそうな強さ。
痛い、痛い。
「んーっ!」
「いい乳してんなあ、乳首もビンビンだ。一晩も男なしじゃいられないんだろ?」
ぎゅっ、ぎゅっ、と乳頭を摩擦されると、下半身にためこまれていた疼きが一息に胸の先まで這いあがってきた。
痺れる。
息ができない。
下腹部から尻の下まで蜜液が滴っていく。
スカートの裾がめくられた瞬間、男たちが声を合わせて笑った。
「うわっ、こいつ何もはいていないぞ。やばいな」
「なんだこれ、もうグチョグチョに濡れてんじゃないか?」
本当にヤリたくてしょうがないんだろうな。
こんな女だとは思わなかった。
三人の中で一番大柄なでっぷりと太った男が、ズボンを下げて腰の上にのしかかってくる。
見るのも嫌な薄汚い男性器が女陰になすりつけられていく。
助けて。
どうしてこんな男に。
体を最後まで許したのは、良也しかいないのに。
彼は相変わらずこっちを見ようともしない。
香苗は鼻にかかった甘え声で、良也に何か話しかけている。
「楽しませてくれよ、早川」
「んっ! んーっ!」
熱く硬い先端が押し込まれていく。
にやにやした笑いが大きくなる。
抜いて、抜いて!
叫びは声にならない。
残りのふたりがべちゃべちゃと胸を舐めまわしていく。
いやらしい女だ、どうしようもない奴だと罵倒の言葉を浴びせながら。
嘘なのに。
全部、香苗の作り話なのに。
嫌悪感に鳥肌が立つ。
男の表情が恍惚としたものにかわっていく。
腰が振り抜かれ、鋼のような肉棒を子宮口まで突き立てられていく。
「ああ、こいつの中すげえな……むちゃくちゃ吸いついてくる」
「んっ、んん!」
おかしくなりそうなほど気持ちが悪いのに、桃子の意志とは無関係に下半身がびくびくと痙攣した。
頭がぼんやりする。
目の前に光の筋が乱舞して見えた。
嫌なのに……やめてって言ってるのに……。
男のモノによって押し広げられた秘唇からは、とめどもなく愛液が流れ落ちて畳を濡らす。
気を失いそうになった瞬間、横にいた男に口からタオルを抜かれ、バチンと思い切り頬を叩かれた。
「ううっ……」
口の中が切れ、鉄に似た味が広がる。
挿入している男は、狂ったような声をあげながら腰を振り続けている。
香苗が笑いをこらえているのが見えた。
「なんだ、イッたのか? そんなに欲しいなら、こっちにも入れてやるよ」
突き飛ばすようにして、畳の上に寝かされる。
真後ろにいた男が顔の上にまたがり、口の中に男根を捻じ込んできた。
強いアンモニア臭と汗の匂い。
いやだ。
いやだ。
「噛んだりしたら殺してやるからな。ちゃんと舌つかってしゃぶれ」
もう、何も感じなかった。
早く終わって欲しい。
ただそれだけを思って舌を動かす。
ああ、これは。
兄のときと同じだ。
涙が出た。
ひとりだけ幸せになろうとした罰なのかもしれない。
「うおっ……おっ……」
体の上にいた男が、びくびくと体を震わせる。
膣の中に出されたのがわかった。
そしてまた次の男が同じ場所に入ってくる。
もう、好きにすればいい。
桃子は目を閉じ、獣のような男たちに身を任せた。
もう二度と、誰も好きになんてならない。
幸せになろうなんて思わない。
そう心の中で誓いながら。