裏切りと凌辱の夜-5
「あはは! 桃子ちゃんも馬鹿だけど、良也くんもほんとに単純ね。ああ、おかしい」
「……香苗、これどういうこと? 仕返しとかって、いったい何の話?」
「ああ、それね」
桃子ちゃんは、ほんとは全然悪くないんだけどね。
歌うようにそう言いながら、香苗は不必要なほど頑丈に縛られて転がされた桃子の足元にしゃがみこむ。
紺色のスカートをひらりと腰上まで捲り、パンティの脇に手をかけた。
「やっ、ちょっと、やめて!」
「あーあ、色気のない下着はいちゃって。これじゃ先輩たちもつまんないよね。脱いじゃおっか」
冷たい鉄のような感触。
太ももにハサミが押し当てられている。
シャキン、シャキン、と鋭い音がして、下着が切り裂かれていく。
香苗が少し引っ張っただけで、布切れはするりと股間から離れていった。
動揺と激しい羞恥心が同時に押し寄せてくる。
頭に血が上り、冷静でいられなくなる。
「な、なんなの!? どうしてこんなことするのよ!」
「あらら、いつも落ち着いてるって評判の桃子ちゃんらしくないじゃない。だめよ、こんな夜中に大声だしちゃ」
いつもとかわらない微笑みに、とてつもない不安をあおられる。
香苗は自分のバッグから小瓶のようなものを取り出し、中に入っていた白いクリームをべったりと桃子の陰部に塗りつけてきた。
閉じた陰唇の奥にまで、ほっそりとした指先が潜り込んでくる。
粘膜に触れながらぐにゅぐにゅと動きまわられるのが耐えられない。
「い、いやあっ! 気持ち悪い、やめて、やめてよおっ!」
「だってね、みんなの中で桃子ちゃんはわたしの好きになる男の子と次々に寝ちゃう淫乱ってことになってるの。なのに、アソコが乾いてちゃ面白くないでしょ?」
「わ、わたし、そんなことしてない」
「良也くんにもサークルのみんなにも可愛がられるわたしに、桃子ちゃんは嫉妬してね。それで、何人もの男にわたしをレイプさせたの。ひどいわよねえ」
「い、いったい何を言ってるの……わたし、そんな」
ひんやりとしたクリームの感触が、徐々にひりひりするような熱さへと変わっていく。
腹の奥で何かが暴れている。
不自然な疼き。
無理やり興奮させられていくような違和感。
香苗がまた笑う。
「うん、もちろんそんなの嘘よ。でもみんなは信じてる。桃子ちゃんがわたしを傷つけるから悪いの」
「だ、だから、傷つけたってどういう……あ、あっ」
膣の入口付近が、異常に思えるほど痺れている。
きゅうっと下腹の奥が締まっていく感覚。
得体の知れない熱と疼きに全身が絡め取られていく。
脚の間から、たらたらと粘液が流れ落ちていく。
なのに縛られた体制では、それを隠すことも拭き取ることもできない。
「あらら、もう効いてきたのね。これでたくさん遊んでもらえるわよ、桃子ちゃん」
「こ、これ……なんなの……」
「ん? エッチのときに気持ちよくなれるお薬。男の人にも効くから、後で先輩たちが来たらもう朝まで離してもらえないんじゃないかな」
あはは。
おかしい。
香苗が笑い転げながら語った「傷つけられたこと」というのは、ほんのささいなことだった。
彼女は容姿に自信があり、地元の高校では誰よりも男の子に人気があってちやほやされていたらしい。
ところが大学に入って最初に好きになった良也に告白してみたところ、ほかに好きな子がいるからと断られた。
その相手が、自分よりずっと冴えない桃子だった。
許せない。
自分がこんなに傷ついているのだから、桃子も自分以上に傷つけてやらなくては気が済まない。
この3年、ずっとそれだけを考えていたのだそうだ。