愛のあるフェラチオ-1
『だからさ、なんで今さらそんな話を持ち出してユウくんに聞かせたんだよ! あーもう、せっかく仲良くなれそうだったのに』
久々に連絡をよこした美山が、電話口でぎゃあぎゃあわめいている。
桃子と会わない間も、ユウには毎日メールや電話をしていたらしい。
ところが先週あたりからぱったりと返事が途絶え電話にも出てもらえなくなり、心配になったのだという。
「はあ? いいじゃない、本当のことしか言ってなし。だいたい最初からユウにはかまうなって言ってあるでしょ」
『いや、でもほら……いまは僕、真面目に働く好青年だし。桃子ちゃんに会えないんだったら、せめてユウくんに遊んでもらおうかなと思って』
「だめ。あ、そろそろ学校行かなきゃ。じゃあ、またねー」
まだ何か言おうとする美山を遮って、桃子は一方的に通話を終わらせた。
土曜の午前8時。
まだ隣にはユウが寝ている。
学校に行かなきゃなんていうのは、もちろん嘘だ。
話し声で目が覚めたのか、ユウが眩しげに手をかざして目元を覆うようなしぐさをした。
「ん……おはよ。電話?」
「うん、美山くんから。ユウが急に態度が変わったから、何かあったんじゃないかって気にしてた」
みるみるうちに表情が曇っていく。
両腕を伸ばしてぎゅっと桃子を抱き寄せ、何も身につけていない裸の胸に顔を埋めてくる。
鼻先が乳房に擦れてこそばゆい。
きこえてくるのは、ぼそぼそとした寝起きのくぐもった声。。
「……あの人、許せない。桃子も、もう会っちゃだめだよ」
「あはは、美山くんはあのときちょっと病んでただけ。そんなに悪い人でもないんだけどね」
おかしかったのはあの日だけで、あとはちょっとチャラいだけでお洒落な面白い人だよ。
そうフォローしてはみたものの、ユウの表情は暗い。