『痴漢ごっこ』の記憶-4
「やっ、いやあっ……!」
美山の両肩を、渾身の力で押し返す。
言われた通りの演技をしようとしていたのか、本気で嫌だったのか、自分でもよくわからない。
桃子が手足をばたつかせて暴れるほど、美山は興奮の色を濃くして息を荒げていく。
非力な桃子の抵抗など何の役にも立たない。
下着が引き剥がされ、柔らかな乳房がめちゃくちゃな力で揉みしだかれていく。
乳腺が引きちぎられていくような激痛。
ぎゅうっと胸の先がつままれ、真上に引っ張り上げられた。
恥ずかしさと恐怖感。
ぞくぞくする。
やめて、やめて。
いつのまにか泣いていた。
桃子の上半身を抱きかかえ、美山が歯を立てながら乳頭に吸いついてくる。
ちゅばっ、ちゅばっ、と大きな音を鳴らしながら、燃えるような熱をはらんだ舌が敏感な突端をねぶりたてていく。
もしも、と思った。
もしも自分が、まだ綺麗な体だったら。
兄にも他の男にも一度も触れられてことがなかったとしたら。
きっと怖くて悲しくて、耐えられないに違いない。
ありえない空想に、現実を同化させていく。
「乳首、まだ綺麗なピンク色なんだね。知らない男に無理やり舐められるのって、いったいどんな気持ち?」
「嫌あっ、気持ち悪い……! やめて、お願いだから助けてえっ!」
声の限りに叫んだ。
美山はさらに力を込めて、ひん、ひん、と啜り泣く桃子を抱え込み、唇をなすりつけるようにして胸に舌を這わせていく。
ねろねろと押し転がされる先端から、甘い衝撃が伝わってくる。
体の深いところまで蕩けていくような、どこまでもいやらしく魅惑的な感覚。
首を絞められているわけでもないのに、息が苦しい。
こんな男になんか感じさせられたくない。
でも気持ちいい。
顔を赤くして呼吸を乱し始める桃子を眺めながら、美山はにやりと笑った。
「芝居が上手いな。それとも、本気で感じてるの?」
「感じてなんか……やっ、だめえっ!」
ワンピースの裾がはだけられ、右足を肩の上に抱え上げられた。
ナイフでパンティの脇を裂かれ、剥き出しになった女陰を探られる。
そこだけはどうしても嘘がつけない。
とろとろと溢れる蜜を指先ですくい取られた。
わずかに触れられただけで、じんとした痺れが広がっていく。
てらてらと濡れた指先を目の前に突きつけられる。
直視できない。
目を逸らしたいのに、顎をつかまれて無理やり見せつけられた。
「ほら、こんなに濡れてるじゃないか。欲しいんでしょ? ねえ」
「嫌なの、そんな、嫌っ……」
ふるふると首を左右に振った。
本当のことを言いなよ、と美山が髪を強く引いて揺さぶってくる。
「ほんとはもう入れて欲しくてたまらないんだろ? 自分で股開きながら言ってみてよ、わたしのオマンコにオチンチンいれてくださいって」
「い、いや」
「いやらしいわたしのマンコ、可愛がってくださいって、ね。言えるだろう?」
ギラリと光るナイフ刃先が指の跡の残る乳房につきつけられる。
脅されながら犯される、まだ男を知らない女の子。
どんどん自分がその役に入り込んでいくのがわかる。