嫉妬と欲望の夜-7
「やっ、いやっ……そんなにされたら、すぐに……」
「まさか、もうイッちゃいそう? だめだよ、まだ。ほら、どんなふうにヤルのか教えてって」
「どんなって……上手じゃないよ……触るのも、入れるのも」
キスが少し上手くなった。
だけど、その他はたいして上達しない。
テクニックみたいなものも全然ない。
ただ、なぜか最後はいつも涙が出るほど感じさせられている。
「それはやっぱり愛だよ。気持ちがあるから、くだらないテクニックなんかよりよっぽど感じるんだと思う」
「だから、愛なんかじゃ……あ、あぁっ」
英輔が自身のズボンを押し下げ、大きく隆起した男根を桃子の股間に擦りつけてくる。
下着の上からでも、それが熱く猛っていることがわかった。
「正直に言いなよ、桃子。大好きなんだろ? ユウくんが」
「ち……ちがう……」
「嘘つきだなあ。だって、今日本当はヤラないまま帰るつもりだったくせに」
図星だった。
少しじゃれ合って、おしゃべりして、適当なところで帰るつもりだった。
美山のときと同じように。
「そ、それは……ユウとは関係なくて……」
「あはは、泣きそうな顔してる。この前の美山くんの車の中でも、そんな顔してたんだろうな」
「わ、わかんない、そんなの」
「まあ、僕は美山くんみたいに優しくないからね。絶対に途中で帰らせたりなんかしないよ」
薄いパンティはすぐに脇へとずらされ、すでにぐっしょりと濡れた秘唇が静かに押し割られていく。
下半身が引き裂かれてしまいそうなほどの圧迫感。
その一瞬、視界がハレーションを起こし呼吸ができなくなる。
抵抗する間も無かった。
巨大な肉傘が、膣の奥へゆっくりと飲みこまれていく。
亀頭の丸みやわずかなくびれまでが、はっきりと肉襞を通して伝わってくる。
ユウのものとは、まったく別の感覚。
「あ……は……入ってくる……熱い、熱いっ……!」
「うん、入っちゃったねえ。桃子の中、すごいビクビクしてる。僕もユウくんに嫉妬させてやりたいなあ」
ずん、ずん、と重みのある肉の塊が下から突き上げてくる。
真っ赤に熱された太い鉄の杭が打ち込まれていくようだった。
体の中心がじんじんと痺れていく。
なのに、どうしてもユウのことが頭から離れない。
いまごろは、もうアパートに戻っているだろうか。
きちんと学校で話はできたのか。
……ユウ。
ばちん、と尻に衝撃があった。
痛みにうめき声をあげると、英輔が苛立ったような顔でこちらを見つめている。
「ほら、まただ。最近の桃子はいつもそうやってぼんやりすることが多いよね」
「ご……ごめんなさい……」
「じゃあ、僕のことが好きって言ってみてよ。英輔くん、愛してるって」
「……え?」
「それくらいいいだろ? 言わなきゃ今日は帰さないよ。僕も言ってあげるから」
桃子、大好きだよ。
愛してる。
あまりにも空々しい台詞。
そんなことを口にして、いったい何の意味があるのか。
それでも、この状況では断れない。
「英輔くん……好き……あ、愛してる……」
「ああ、いいねえ。もっと言ってよ、何回でも」
腰を打ちつける速度がはやまっていく。
もっとも奥深いところを執拗に突き上げられる。
否応なく皮膚の裏側に快楽が刻み込まれていく。
擦れ合う肌から汗が滴り落ちる。
好き。
愛してる。
心のない言葉がふたりの間に飛び交う。
英輔が息を荒げながら、耳に口をつけて歯を立ててきた。
「や、やだ……歯型とか残さないで……」
「あはは、今度はユウくんに耳を喰いちぎられるんじゃないか。ところでさ、まだピル飲んでる?」
「の、飲んでるけど……」
答えた後、しまった、と思った。
英輔の考えていることが、手に取るようにわかる。
「だ、だめだからね……そ、それだけは、絶対……」
「いいじゃん、愛してるって言ったよね? 桃子の中にさ、僕の証拠残してやりたい」
「や、やだ、いや、いやああっ!」
どくん、と腹の奥で男根が脈を打つ。
火傷しそうな精液が大量に放出されていく。
射精を終えた後も、まだ繋がり合ったまま英輔は桃子を離そうとしない。