嫉妬と欲望の夜-6
「桃子はときどきそうやって何もかもどうでもいいみたいなこと言うけど、けっこう堅実にやってるよねえ。単位もぎりぎりだけど落とさないし、バイトも辞めないし、ほら、なんだったか忘れたけど資格も取るんでしょ?」
首筋から鎖骨にかけてのラインを、舌先でたどられていく。
ブラウスを脱がされ、下着のホックも外される。
小さなふくらみを手のひらで持ち上げるようにして、ゆっくりと揉まれた。
弱すぎず、強すぎない力で。
尖り始めた乳首の先には触れないようにしながら、じわりじわりと時間をかけて弄ばれる。
そうされているうちに体の芯が痺れるように熱くなって、あの恥ずかしい場所からねっとりとした蜜が染み出してくるのがわかる。
気がつけば桃子は、英輔の首にしがみついて動物の牝を思わせるような喘ぎを漏らしていた。
「あ、あっ……堅実、なんかじゃないよ……バイトだってあんなの、誰だってできるし……学校もそんなに賢いところじゃないから、適当にやってても単位くらい……」
「出会い系サイトのバイトだって、あれも稼ごうと思えば楽じゃないでしょ。頼んでくれれば僕だって、桃子の生活費くらい出してあげるのに」
同じことは、坂崎からも言われたことがある。
金くらい出してやるから、くだらないアルバイトは辞めてしまえと。
洋服だって化粧品だって、好きなだけ買えばいいと。
でも、それでは男たちと対等でなくなってしまう。
「嫌だもん……そんなの。わたし、べつに誰かに飼われたいわけじゃないから」
「そういうとこ、面白いなあ。基準がよくわからないけど、桃子だけの倫理観みたいなのがあるよね」
きゅっ、きゅっ、と乳輪の端から乳頭の先までを指先でしごかれる。
軽く引っ張るような刺激に、体温がぐんぐん上昇していく。
脚の間がひくひくしながら疼いている。
感じている顔をじろじろと見られるのが、恥ずかしくてたまらない。
「倫理観って……あ、あんっ」
「既婚者とか決まった彼女がいる男は絶対に相手にしない、なんていうのも独特だよね。誰とでもヤッてるみたいだけど、実はそうじゃないんだから」
「だ、だって、彼女に、悪いでしょう……あ、だめ、そこ……弱いから……」
「なんだか桃子、前より感じやすくなってるなあ。これもまさかユウくんの影響? ねえ、その子はどんなふうにしてヤルの? 教えてよ」
背中をのけ反らせた桃子の腰を、英輔が強く抱く。
いや、いや、と首を振っても、指の動きを止めてもらえない。
揉みこまれていく肌が、熱く焼けついてしまいそうだった。
痛みと気持ちよさの境目。
ぎりぎりの感覚が桃子を絶頂へと押し上げていく。