勇気と劣等感-8
「水族館?」
「う、うん!この前動物園に遊びに行った事だし、今度は。」
「あー悪ぃー、ちょっと無理だわ、それじゃ!」
そう軽くあしらって、体育館へ急ぐ彼。
相変わらず華麗にシュートを決める佐伯君。そんな彼に沢山の黄色い声援が浴びせられ。
試合が終了し、それと同時に彼のファンが一斉に彼の元へ駆け寄り。
「お疲れ様!佐伯くぅーん!」
「超カッコ良かったよぉー。」
「いやー、どうもどうもぉー、はははぁー。」
「あの!これ、タオル…使って下さい!」
「ずーるーい!私が先に貸そうとしたのにぃー。」
この光景を目の当たりにし、何処か胸がムカムカする、これってひょっとして…嫉妬?
それもあるかも知れないが他にも何か、こう。
私は耐えきれず体育館を飛び出す。
「真彩、どうした?」
「………別に。」
真彩、と呼ばれる長髪で茶髪のカールの掛かった女子がすれ違いざま、走り去る私に振り向く。
「…………。」