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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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勇気と劣等感-4

「やったじゃない、若葉!」
「うん!巴ちゃんのお蔭だよ、本当にありがとう!」

帰宅してその事実をその喜びを電話越しに目を輝かせ語る。静まり返った夜の満月が私に微笑む。

「いーえっ、若葉こっからが本番よ!今回の出来事を胸に自信を持って、これからも積極的に話掛けるのよ。」
「はいっ!先生。」
「今度は一人であたるを誘えるでしょ!」
「さ、誘うって?」
「そんなの決まってるでしょ!デートよ、デート!今度は私達の力を借りずアンタ一人で彼を誘うの。」
「うー、出来るかなぁー。」
「彼にハンカチを差し出し、あの日のお礼を伝えたのは、だぁれ?」

そうだ、私はもう動物園で彼が近くに居るのに声一つ掛けられない弱虫な自分はもう居ない…。

「それにしてもアイツが若葉の事をそんな風に思ってただなんて…、あの動物園は何だったんだ?まぁ…彼は彼で不器用だからな。」
「じゃー彼は私に気があるの、かな?」
「あるよ!きっと転校して来た頃から脈ありで、アンタの事もしかしたら。」
「考え過ぎじゃないかなー。」
「んな事あるかぃ!じゃーあのバス停での出来事は何だって言うのよっ!」
「それは……。」

彼女に言われバス停でのエピソードを想い返す、照れ臭いのもあるが何より嬉しい。

「その調子で彼とどんどん距離を縮め、ゆくゆくは恋人同士。」
「私と彼がこ、ここ、恋人!?…そんなぁ。」
「何か困った事があったら応援してあげるから、うん。これでバッチリねっ!」

どんどん自信が湧いてきた。そうだ、いけるいけるっ!

この時、私も彼女もこれからどんどん上手く行くと思っていた…。

後にあのバス停での出来事が、幻ではないかと疑い事になるとはこの時の私達には知る由もなかった……。



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