る-6
「夢?」
「・・えっ?なに?」
「あの子は、仕事で俺のハンコを今日中に貰いたくて来ただけだよ」
あの子の目的は、どう見てもそれだけじゃないけどね。
「夢?聞いてる?」
ベッドに入ったまま、上半身を起こして
見慣れないメガネの顔でそんなことを言う。
「夢?」
篠塚さんの体調を知らなかったのは、私だけなの?
あの子は仕事で来たという割には
ご飯を作って薬を用意するの?
なのに私は知らないままだったの?
篠塚さんの優しさは・・・・何?
「夢?あの子はなんでもないよ」
少し困った顔でそんなことを言う篠塚さんが
急に憎らしくなる。
手に持っていた袋からスカートのラッピングを1つ手に取ると
篠塚さんに向かって投げつけた。
バンッとそれが篠塚さんの胸あたりに当たった。
「おいっ、ゆめっっ」
「何よ!ほかの女の子のスカートを私に買わせてっ!」
バンッともう1つ投げつける。
「私には体調のことを何も言わないでっ!
なんであの子がこの部屋に上がってるのよっ!」
3つ目のスカートを投げつけた。
「私には何も言わないつもりだったの?何も知らせるつもりはなかったの?」
4つ目のスカートを投げつける
「篠塚さんは、私の彼氏なのに!なんであの子がここにいるのよっ!」
4つのスカートの包みを抱えながら
篠塚さんがニヤッと笑った。
「夢、それって嫉妬?」