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浦和ミュージックホール
【その他 官能小説】

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いずみのステージ-1

 「演歌の星、妖艶ストリップのいずみ」
 相変わらずのキャッチフレーズだが、いずみのステージは楽しみにしていた。
 なぜなら彼女がみどりの弟子・・・踊り子に師弟関係もないのだが、みどりが手取り足とり教えた踊り子だと知っているからだ。
 いずみは元演歌歌手、鳴かず飛ばずでどさ周りをしている頃にみどりのステージを見て弟子入り志願したこと、今度再デビューが決まってこの公演限りで踊り子を辞める事も知っている。
 正直なところ、踊り子を辞めて歌手に戻ると言うところに引っかかるものを感じないわけでもなかったが、当のみどりが『応援してあげて』と言うのだからいい加減な娘でも礼儀知らず、恩知らずな娘でもないのだろう、そして、みどりも『一人前になった』と認めている、俺がとやかく言う幕ではない。

 演歌らしいイントロが流れ、いずみが着物姿で現れる。
 なかなかの美形だ、それもぱっちりした目鼻の今時風ではなく、むしろ切れ長の目の和風美人、演歌の雰囲気に合っている、と言って色気過剰と言う感じでも厚化粧でもなく、よく整った清楚な印象さえ受ける、ちょっと雰囲気は違うが里美を少し和風にした感じ、ぱっと目には里美ほど目を惹かないが差し向かいで酒をやったり取ったりしていたら里美よりも雰囲気があるかもしれない、年齢もまだ25だそうだ、やったり取ったりするのは日本酒じゃなくてワインか何かでも合いそうな雰囲気・・・ただ、里美と同様、強烈な個性には乏しいかもしれない、歌手で一度失敗しているのはその辺かも・・・。
 しかし、歌い始めると、どうして売れなかったのかわからなくなる。
 まず所作が美しい、滑らかで指先、足の先まで神経が行き届いている、そして特筆すべきはその表情、殊更に情念を前面に出すわけではないが、しどけなく切ない表情がぐっと来る・・・もし、いずみと付き合っていて別れ話を切り出したとする、そんな時こんな顔をされたら絶対に手放したくなくなる、思わず抱きしめて『嘘だよ』と言ってしまいそうだ。
 ストリップ小屋で一曲、フルコーラスで歌ったが、お客は誰も文句は言わない、むしろ歌の世界に引き込まれているようだ、タンバリンはおろか声も出していない、そして歌い終わっていずみが一礼すると惜しみない拍手が送られた。

 曲が変わる、BGMは演歌ではない、日本情緒あふれる曲だがインストメンタル、むしろ歌詞の世界に流されるのを避けているように思う。
 いずみの踊りは日舞の流れ、踊り子修行を始めて一年という事だから元々素養があったのだろう、滑らかだがメリハリのある踊りでみどりと比べてもそう遜色はない。
 そして帯に手をかけ、ストリップにかかる。
 ストリップもみどりに手ほどきされたとあって正統派というか、ストリップティーズの本道を歩むもの。
 流石にみどりほどの溢れる色気があるわけではないが、若く、美形であることを加味すればみどりとも遜色はないかもしれない、少なくともはっきり劣るものではない。
 その表情もいい。
 みどりのような妖艶さは流石にないが、切なさを感じさせる表情、目線も変化に富んでいる、時にすがるように、時に甘えるように、また時には恨むような視線を客席に送る、抱きしめたくなるような色気を感じる。
 いずみが襦袢になるとかなり細めなのがわかる、そして後ろ向きで襦袢を肩から滑らせるとなで肩と柳腰・・・どこまでも柔らかな印象のみどりとは違って強く抱きしめたら折れてしまいそうな魅力がある。
 向き直って晒された乳房も控え目なもの、しかし、華奢な体とバランスが取れていて美しい。
 腰巻は座ったまま外し、端を咥えて最後のパーツを隠したままポーズを変えて行く、そしてフィナーレ近く、うつぶせで腰巻を唇から離すとゆっくりと腰を上げ、いずみはすべてを晒した。
 ヘアは薄く、使い込まれていない奇麗なあそこ・・・俺だけじゃない、劇場内の誰もが自分だけに差し出されたと感じただろう・・・それほどにいずみは惹きつけていたのだ。
 そのままいずみはいくつかのポーズを見せてショーを終えた。
 あそこの中まで見せ付けるようなフルオープンはなく、オナニーショーやましてまな板もない、しかし観客は充分に満足して拍手と歓声でいずみを見送った。

 たった一年でここまで・・・俺は感心し、これが最後の公演だと言うのを惜しく思った。
 彼女こそみどりの後継者にふさわしい・・・。
 しかし、元歌手であることも知っている、ジャンルこそ違っても表現する、という事では同じ、それだけの感受性やセンスを持ち合わせていたからこそ一年でここまでのショーを見せられる様になったのだろう、そして、近く歌手として復帰すると言う・・・。
 いずみが今度こそ成功することも確信した。
 いくら素質があったとしても一年でここまでになるには相当に勉強熱心な努力家であることも間違いないのだから。


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