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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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巴のラブラブ大作戦!-5

休み時間の教室、しかしアイツはまだ戻っていない。

「佐伯君、来ないね。」
「そろそろ体育館から戻って来る頃、きたぁぁぁぁぁぁっ!」
「と、巴ちゃん!」
「あ、あぁすまねぇー。」

思わず声を荒げてしまった…、教室に数人連れでバスケボールを持ち、何時になく上機嫌な彼が戻って来た。

「クッキー、受け取ってくれるかなー。」
「……あっ!席に座った。」

普段祖父の為料理を毎日してるだけあってそのクッキーは色合いも良く形も良く出来ていた、それをアイツの机の中に忍ばせて置いた、さぁこれで。

「でも、判ってくれるかなー、また動物園の時みたいに。」
「大丈夫、いざって時にはあの男がついてるから。」
「あの男って、一条君の事?……スパイみたいだね。」
「しっ!奴が机の中から……あっ、取ったぞ!」

誰が刑事ドラマの見過ぎよ、要約あたるが若葉の作ったクッキーを手に取り。

「や、やった!」
「さぁ、甘く美味しいクッキーを手にした彼はアンタに振り向き。」

クッキーを見つめているものの、喜ぶ事なく不思議そうに見つめ。

「おっ、佐伯ー、何だよそれー。」
「…クッキーみたい。」
「誰に貰ったんだよ。」
「いやー、名前とか書いてないし。」

え?

「ちょっと!どういう事?。名前を書かないと想いが伝わらないでしょ!?」
「…だって、そんなの…恥ずかしいもんっ!」

いやぁー、コイツはぁーーっ!!これじゃークッキーを気にいっても若葉には…。

「取り合えずくれる事にかわりはないんだし、喰っちゃえばぁー?」
「そーそー、どーせお前のファンだって言うそのへんの女子からだろうし。」
「でも、折角くれたんだからお礼くらい言わなきゃダメじゃないの。」
「なぁーに言ってんだよ、これくれた奴だって別に渡すのが目的であって、態々お礼を言いに来て欲しい訳じゃないだろー。」

あたるの周りで好き勝手言い出すクラスメート達、確かにアイツはモテるから、彼が態々お礼何て言いだしたらクラスの女子から省かれる…という黒い噂があり、彼らの言うように渡したけどそこで終わる人は少なくはない。

「全く、名前も書かないで勝手に入れる何て、お前の机はアンケート箱かってーの。」
「…で?どーすんだよそのクッキー。」
「うーん。」
「何なら俺が貰ってやろうか?」
「まぁ、そうだなー、じゃ。」

くぅーーー、馬鹿がぁっ!ほんっと頭に来るなぁ。男子ってマジ鈍感、これじゃー若葉が可哀想。

馬鹿男子の余計な意見によってこの計画は。

「粗暴…。」
「へ?」
「蓮?」
「粗暴だよー皆ー、あたるも。」

間一髪の所で蓮が待ったを掛けてくれ、ホッと胸を撫で下ろす。

「いやーだってよぉー。」
「そのクッキーを作った人の事、ちょっとでも考えた事ある?」
「それはぁー。」
「君らからしたら単なるお節介クッキーにでも見えるんだろうけど、作ってこっそり君の机に忍ばした彼女からしたらどうだい?お口にあったかな?喜んで貰えたかなーって。」
「……。」
「…とにかくさぁーあたる。それは君にくれたもの、君に食べて欲しくて恐らくその人は
作ったんだよ?」
「まぁ、それじゃー取り合えず食べれば。」
「ただ口にするだけ?」
「え?だって…。」
「僕の知ってる親友は、幾らモテるからって数あるプレゼント一つ一つを面倒だからって粗暴に人に渡したりせず、ちゃんとその人に感謝する、そういう人だと思ってる。」
「お前……どうしたんだ?」
「兎に角!そのクッキーをくれた人にちゃんと会ってお礼を言いなさいっ!」
「でも、これくれたのが誰か判んないんじゃー。」
「心辺りならあるよー。」
「へっ?」


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