巴のラブラブ大作戦!-2
館内でその麗しい瞳で観光客を楽しませるレッサーパンダ。幸いにも他の客は誰一人として居なくあたると若葉をここに連れ(誘導して)二人がそれに目が言っている隙に部屋を出る私、連もそんな私についてくように去り。
「うふふ、さぁ!これで若葉はアイツと二人っきり。」
「何か君の方が楽しんでない?」
「んな事ないって。」
あたるに見つからないよう隅っこで様子を伺う私達。
さぁー若葉よ、今だ!その愛くるしいパンダちゃんに彼と共に共感し分かち合うがいい。
そうしていく内にお互いの距離が縮んでいき。
ダガ、そんな私の願いとは裏腹に。
「なーんか柊さん、固まって近づく事も口も開いてもないね。」
「……。」
案の定、腰を下しパンダと戯れる彼を、ただひたすら顔を赤く染めただただジーッとそんな彼を見つめるだけの若葉。
「あの小心者…。」
「あたるも彼女の視線に全く気付いてないし。」
ちっ!…まぁ良いさこんな所で行き成り上手く行かれてもつまらないからな、むしろこれで良かったぜ。
どこぞのヤンキーの強がりみたいに次へ早々と移る事に。
「はー、結構歩いたなー、ふぅ。」
「………。」
レストランにてハンバーガーセットを広げ二人きりで食事する若葉とあたる。相変わらず二人に会話は見られない。
あたるは子供みたいに小刻みに椅子を揺らし、辺りを適当に見回し、若葉はテーブルばかり見つめ、スカートを強く握り。これじゃー相席した見知らぬ人通しだ。
全く、一息入れて美味しい物を口にすりゃー自然と会話も弾むと思ったのだが。
「お、もう喰い終えたのか…。」
ポテトが空になったが、何処か物足りない彼。すると若葉が自分の余ってるポテトを彼の方へ震えた手で向け。
「おっ、ようやく行動に移したか。」
「渡せ…渡せ…ワタセ…。」
「悪魔の囁きだ。」
そんな彼女の頑張りも全く気付かず、フラフラと体を動かすあたる。さぁ渡せ、まずは声を掛けるなり肩を叩くなりして。
ダガ、良い所でそのポテトを自分の口に。すると彼は席を外し、動物を観に行き。彼女に何も声を掛けないが悪気はないし、悪い事でもない。
「あーあぁ。」
「んもぅ!」