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愛しているから
【青春 恋愛小説】

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強い気持ち・強い愛-4

詰め寄る俺にビビッた沙織は、心持ち後ずさる。


「り、倫平落ち着いて……」


「落ち着けねえよ、何だよそれ!」


怒りの矛先は州作さんに向いて、やり場のない怒りをどうぶつけていいのかわからずに頭を掻きむしってはギリギリ奥歯を鳴らす。


何沙織に手ぇ出してんだあの野郎!


「あ"〜〜〜もう!!」


こういう時って、吠えるしかできないんだって初めて知った。


悔しい、悔しい、悔しい!!


嫉妬でトチ狂った俺に、沙織が慌てて、


「されそうになったけど、してないから!」


と、少し声を張り上げ宥める。


沙織の言葉に、また動きが止まる俺。


だけど興奮したせいで息だけはやたら弾んでいた。


そんな俺に彼女は、


「もう、最後まで話を聞いてよ」


と、少し呆れたように苦笑いを見せた。



   ◇   ◇   ◇



沙織によると、州作さんと買い出しに向かう車の中で、奴は“付き合おう”と告白してきたそうだ。


正直、迷ったらしい。


俺に別れようと言われたことで、自棄になっていたかもしれない、辛さから逃れたかったかもしれない。


とにかく突然の告白に頭が真っ白になった沙織は返事ができなかったんだと。


迷う沙織に、州作さんが行動に移す。


俺も沙織に告白した時に、返事を聞く前に想いが溢れてしまうあまりにキスをしたことがあるから、州作さんの気持ちもわからなくはなかった。


けれど、俺の時とは違って、沙織は思いっきり州作さんの頬を引っ叩いたらしい。


「好きって言ってくれた気持ちは嬉しかったけど、もう咄嗟のことだったからつい……。

それに、あたしはまだ……」


チラッとこちらを見たけれど、すぐにまた目を逸らした彼女は、さらに続ける。


「でも、州作さんは“いくら沙織ちゃんが大山くんを好きでも、彼がもうダメだと思えばダメだと思うけど?”って……」


要は、別れた男をいつまでも好きでいたって仕方ない、さっさと見限って他の男に目を向けた方が建設的なんだと。


州作さんの言い分はもっともだけど、何だろう。奴に対して苛立ちが治まらない。








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