王様の秘密-2
全ての民の特徴を持つカウル=レウム王は褐色の肌で獅子の鬣のような金髪だ。
髪と同じ金色獣耳が生えており、背中には黄金の翼に、お尻には金の鱗の蜥蜴の尻尾。
今は2本の足だが変化したら黄金の魚鱗をもつ魚の下半身が現れる。
何もかも金色なカウル=レウム王の別称は『黄金王』だ。
「ちゃんと聞いてましたよ。ディアゴくん」
カウル=レウム王は右肘をついた手に顎を乗せて少し考える。
「……いっそのこと何もかもバラしましょうか?」
そうすれば領主達も密偵を放つ事も無い。
「カウル=レウム王!!」
カウル=レウム王の言葉に秘書ディアゴは青くなって両手で机を叩いた。
「冗談ですよ。そんな事したら無駄な死者が増えるだけです」
ふうっと息を吐いたカウル=レウム王は、チラッと天井に目を向けた。
「!!」
その微々たる合図でディアゴは素早く動いた。
腰に挿してあるショートソードを抜き、そのまま天井に投げつけたのだ。
ガッ
「ッ」
天井に突き刺さったソードの鈍い音と、小さく息を飲む声がカウル=レウム王の耳に届く。
「衛兵!!」
「無駄です。もう居ませんよ。しかし、殺気無しの君の剣を避けるなんて中々優秀ですねえ」
「呑気に構えている場合ですか?!暗殺者だったらどうするんですかぁ!?」
わたわたと喚きながもディアゴの動きは冷静そのもので、天井に刺さったソードを引き抜いて刀身を調べた。
「かすっただけですね」
刀身に微かに着いている血痕を見てディアゴは軽く舌打ちし、そのソードをカウル=レウム王に渡す。
ソードを受け取ったカウル=レウム王は刀身を眺め、おもむろにぺろりと血痕を舐めた。
「ふうん……結構若いですね」
銀の民は体液や血の味で相手の体系や性別などがあらかた分かる。
「20歳前後、男性、銀の民。分かるのはこれくらいです」
「銀の民ですか」
銀の民は4つの種族の中で1番人口が多い。
更に身体能力が高くて生命力も強い。
密偵を絞るには曖昧過ぎて、あまり役に立たたない情報だ。
「とにかく。警備を強化しますからね!」
「はいはい」
カウル=レウム王は溜め息をついて窓の外に目を向ける。