ためらう理由-4
「きゃーーー!」
体育館に鳴り響く黄色い声援。バスケ部に所属している佐伯君は、その小さな体で次々と背の高い先輩達の妨害を退け、華麗にシュートを決める。
そんな彼をじっと見つめる私。あの夕暮の補習以来、彼とは一度も声を掛けた事も掛けられた事ない。
「あれ?」
ふと辺りを見回すと、私見たいに独りポツンと彼を見つめる女子が、良く見るとそれは。
「巴……ちゃん?」
昨日見せたあの明るい彼女とは思えないような寂しい横顔。
「!」
私はふと思い出す。あの日モスドで私が彼の事を話し彼の事がきになる、と言った時の彼女の複雑そうな顔。
……もしかして、巴ちゃんも?それだったら私がしてる事は、彼女に。
そう思っているといつの間にか居なくなっていて。
「巴…ちゃん。」