這いまわる三十人の手-1
三回めの絵画教室の日がやってきた。早紀は男たちを見渡す。佐伯くんと出っ歯とスキンヘッドは来ていない。キモ豚が注意してくれたらしい。バッグや服はすでにキモ豚経由で返してもらっていた。教室を見渡して、キモ豚と眼が合い、早紀はあわててうつむいた。
――あたし、あんなに醜くて気持ちの悪いおじさんと、何度もセックスしちゃったんだ……。
佐伯くんたちが消えても、生徒は先週よりもさらに増えていた。三十人はいるだろう。やっぱり全員が男だ。期待感からか、室内の熱気がものすごい。みんな食い入るように早紀を凝視している。
「モデルさんが良いって噂が広まって、途中参加の生徒さんが増えているのよ」
と京佳先生が説明した。
「さあ桃井さん、服を脱いでくれる?」
「はい……」
早紀は口答えせずにモヘアニットを脱いだ。タータンチェックのスカートのファスナーを下ろす。
「今日はずいぶんと素直に脱いでくれるじゃない」
京佳先生が意外そうな顔をした。
――毎週多くの男のひとに裸を見られて、佐伯くんたちのおもちゃにされて、そしてキモ豚に犯され何度もなかに出されてしまったあたしに、羞じらう資格なんかない。あたしのからだは汚くて無価値なんだ……。
水色の水玉模様のブラジャーのホックを外し、乳房をあらわにする瞬間はさすがに躊躇したが、それでも早紀はあっさりブラジャーを床に置いた。
「こんな普通の女子大生っぽい子が、三十人もの男の前でかんたんに脱ぐのか……」
「だけどスタイルは普通じゃないぞ。AV女優でもこんなのなかなかお目にかかれない。あんなおっぱいにパイズリされたらすぐにイッてしまう」
「顔もいまどきのアイドルっぽくていいな。童顔でかわいい」
「いやあ、噂以上だ。来た甲斐があった」
新顔の男たちが、早紀の裸体に感嘆の声を洩らす。
早紀はショーツのウエスト部分に手をかけた。するっと下ろし、股間とお尻が剥き出しになる。ヒュー! とだれかが口笛を吹いた。
「じゃあ、今日は四つん這いからはじめようかしら」と京佳先生が言った。
――全裸で四つん這いってことは、あたしの恥ずかしい部分が丸見えになっちゃう。
早紀は泣きそうになったが、我慢して手足を床につけた。男たちがベストポジションを求め、イーゼルと椅子を抱えて早紀の背後に移動する気配を感じる。
「もっとお尻を高く上げて」
「……はい」
先々週はショーツを脱ぐことすらできなかったのに、いまやお尻を突き出して、赤く色づいた性器ときゅっとすぼまった肛門を見せびらかしている。
ごくり、と唾を呑む音が教室のあちこちで響いた。
「先週までは濡れてなかったのに、今日はすごいな。どろどろじゃないか」
「この一週間でなにがあったんだ」
――ああ、やっぱり濡れちゃってるんだ。あそこがすごく熱くなってて、どぷって恥ずかしいお汁が出てるの、自分でも感じるもの……。
「ようやく見られる快感に目覚めたのかな」
「おま×こが触ってほしそうにひくひくしてる」
蜜は早紀の意思とは関係なしに勝手にあふれて、とめることができない。
「いやらしい女のにおいがここまで届いてくるぞ」
――におい……? やだ、恥ずかしい。
意識すればするほど、早紀の剥き出しの性器は熱くなっていく。下腹部がびくんびくんと痙攣し、とろりとした蜜が滲んだ。