這いまわる三十人の手-4
じょろろろろ……。
愛液とは違う水音に、早紀ははっとわれに返る。丸椅子の座面から液体がこぼれ、床に大きな水溜まりができていた。
「え……あたし、おもらししちゃったの……?」
「これはションベンじゃなくて潮だ」とキモ豚。
おおー、と男たちが歓声を上げる。
「潮を吹かせるとは、木村さんなかなかテクニシャンだな」
「こんな衆人環視のもとで潮を吹くなんて、とんだスケベ娘だ」
「そろそろ挿入してほしくてたまらないんじゃないか?」
男たちが好色なヤジを飛ばす。
つぎの男はいきなり早紀のきゅっと引き締まったお尻を撫でた。
「ここはまだだれにも触られてないよな」
そう言って、お尻の奥に息づくすぼまりに触れる。
「えっ? そんなとこ、汚いから駄目です!」
男はすぼまりのしわを撫で、そして一気に指を穴に突き立てた。
「うっ! ぐぅっ!」
早紀は目を白黒させて衝撃に耐える。
「ここにモノを突っ込まれたことはあるか?」
「いえ、ないです……指もはじめてです。ぎゃうっ! がはっ!」
「どうだ? 感じるか?」
「へ、へんな感じ、です……んんんーっ!」
男は一分間、早紀のアナルを乱暴に指で蹂躙した。早紀は痛みと苦しさに翻弄されながら、はじめて知るアナルの感覚を味わった。
「時間がないわ。つぎのひとから二人一組で触ってください」
京佳先生にそう言われて、今度は男がふたり同時に立ち上がり、早紀に忍び寄る。
「僕はおっぱいを」
「じゃあおれはおま×こを」
乳房を揉まれ、乳首をじゅるじゅる音を立てて吸われ、膣に指を突き立てられ、クリトリスを舐められる。四本の手と二枚の舌が早紀の肌を這いまわった。
「あっあっ、あぁーっ! すごいぃ……感じちゃう感じちゃうぅ! イ、イクぅっ!」
早紀は大きく脚を広げ、のけぞって、絶頂に達した。
「そんなに大きな声であえいだら、ほかの教室のひとたちがびっくりして見に来ちゃうわよ。それとも見てほしいのかしら?」
京佳先生の言葉で、早紀はさらに感じて腰を震わせる。
「口のなかの感触も調べなければ」
男のひとりがそう言って、早紀の顎をぐいっと掴んだ。
「え、まさかキス……?」
男は戸惑う早紀にむりやり口づけする。舌で口内を舐めまわし、じゅるじゅると音を立てて唾液を混ぜ合わせる。
「ん、んんーっ!」
――そんな……。名前も知らないおじさんとキスしちゃうなんて。しかもこんな激しいキス。口のなかがおじさんの唾液でいっぱい……。
「つぎは私たちの番だな」
男がふたり近づいてくる。
「も、もうむり……。これ以上触られたら、頭がへんになっちゃう……」
「なに言ってるの、まだまだたくさん待っているわよ」
早紀は絶望的な気分で、自分のことをらんらんと光る眼で視姦している男たちを見渡した。
三十人全員が触り終えるまで、早紀は十回以上絶頂に達してしまった。最後のほうになると、背や脇腹を撫でられただけでびくびくと全身を波打たせていた。
はぁ……はぁ……はぁ……。早紀は荒い息を繰り返し、ぐったりと椅子に倒れている。
「頑張ったねえ、お嬢ちゃん。ろくに知らない男三十人に愛撫されるなんて、ものすごい経験をしたね。もう恋人との普通のセックスなんて満足できなくなるよ」
「かわいい顔してすごく淫乱なんだね。愉しかったかい?」
「生徒のみなさんに尽くすはずが、これじゃまるで桃井さんのほうが奉仕してもらったみたいじゃない。桃井さん、みなさんにお礼を言いなさい。たくさんイカせてくださってありがとうございました、って」
「た、たくさん……イカせてくださって……ありがとうございました……」
早紀は全裸のまま頭を下げた。あまりの恥辱に涙が浮かぶ。
ぱちぱちと周囲で拍手が鳴った。