決して消えない悪-6
膣からのペニスの脈打ちの感触に、挿入が止まった瞬間から体から快感が消え去ったかのように茜は恐怖にかられた。
「嫌っ…、嫌っっ!」
どこの誰だかも分からない覆面をした男の精子を受け入れてしまっている現実に震えが来る程恐怖した。
「ハァハァ、もう遅いよ…。たっぷりと中に出ちゃったよ…。お前の子宮に精子がドバドバかかってる事だろうよ…。へへへ。あー、気持ちいい…」
「嫌…。嫌!」
茜は力の限りを尽くして覆面男の体を振り払い、必死で立ち上がり砂に足を取られながら岩壁に体を寄せた。
「あっ…」
内股に何かドロッとした液体が垂れてくる感触に気付いた。恐る恐る手でそれを拭い目の前に指を寄せ見つめる茜。指に絡まる粘液…、それは間違いなく精子であった。
「い、嫌ぁぁぁ…!」
手に付着した精子を岩壁になすりつける。完全に取り乱してしまった。混乱する茜の背後に迫る影。茜はいきなり体を押さえつけられ手足に手錠をかけられてしまった。
「ほら、お前はもうレイプ済みの女だ。ゆっくりしてな。」
そのまま砂浜に投げ飛ばされた。
「きゃあ!」
茜は立ち上がる気力すらなかった。ただひたすら妊娠していない事を祈るばかりであった。
「じゃ、交代な。」
悟史が竜彦に撮影機材を手渡す。
「へへへ、じゃあショートちゃん、始めるか。」
有紀はビクッとした。目の前で繰り広げられたレイプ劇がとうとう自分に降りかかろうとしている現実に震えが止まらない。
「ククク、ちっぱいも好きだぜ?」
悟史は有紀の足の手錠だけを外した。
「ゆ、許して下さい…」
怯える女ほど好物だ。
「ヤだねぇ。ククク!」
悟史はキャミソールごと有紀の股間をガッと掴み上げるように押し当てた。
「ああん…!」
中指が割れ目に食い込む。凄い力だ。逃げられそうもない事がすぐに分かった。
「楽しませてもらうぜぇ?ククク!」
悟史がキャミソールをまくり上げいきなりペニスを挿入した瞬間だった。撮影していた竜彦がある異変に気付いた。
「な、なぁ…」
背後からペニスを有紀に奥まで差し込んだ悟史が面倒臭そうに振り向いた。
「な、何だよ!いい時に!」
これからという時に水を差されて少しキレ気味であった。竜彦は顔を青ざめさせながら言った。
「そ、そいつら…大丈夫か…?」
もはや撮影を止め、襲った男達を見つめていた。
「あっ??」
悟史は倒れている男達に視線を向けた。倒れている男達はピクリとも動かない。そして倒れている男達の頭の廻りが何となく黒ずんでいるかの要に見えた。
「えっ…」
悟史はペニスを抜き男達に寄る。竜彦も恐る恐る寄って行った。竜彦がライトで男達を照らす。
「!?」
2人は尻餅をついて驚いた。地面に倒れている男達の頭から流れた血が砂浜を染めていたのであった。
「や、やべぇ…し、死んでる…!」
「ま、マジか…!?」
さっき茜が見せた恐怖に怯える顔よりも怯えた顔で体を振るわせた。
「つ、強く殴り過ぎたか…」
金属バットを思い切り振り翳したのだ。今、冷静に考えれば頭を強く殴り過ぎた気もする。しかしもう取り返しがつかない。男2人は死んでいた。
「に、逃げるぞ!!」
「あ、ああ!」
竜彦らは落とし物がないかを慌てながら確認し逃走して行った。
「女らはどうする!?」
「下手に連れて行ったら面倒だ。置いてく。」
竜彦らは自分らがレイプ犯から殺人犯になってしまった事の重大さに怖くなりひたすら逃げた。車に戻り慌ててエンジンをかけ、そして走り去って行った。
翌日、海水浴に来た客からの通報で男2人の死体と手錠で拘束されていた茜の姿が発見された。現場検証が行われる中、ある女性が現れた。その女性は警官である。周りを見渡し、こう言った。
「レイプか…。許せないわね、そーゆーの。」
海風に髪が靡いた。その美貌に思わず現場にいた男性捜査員らは目を奪われる。しかしその表情には近寄り難い威圧感を感じさせられる。
「お疲れ様です、上原部長!」
若手警官が敬礼して出迎えたのであった。
上原若菜…、彼女の戦いはまだ終わっていないのであった。新たな戦いが今、始まる。