美少女とゴーヤ-1
早紀はまだ茫然自失の状態から抜け出せていなかった。男たちの前で全裸になり、恥ずかしい場所を広げて見せてしまった。そのようすをいっぱい写真に撮られた。そしてこれからキモ豚の家に連れて行かれようとしている。
――あたし、これからキモ豚に陵辱されるんだ。汚されちゃうんだ。もう人生終わったも同然……。
「大勢の前でま×こおっぴろげて昂奮しただろ。家に着くまでのあいだ、それ使ってオナニーしてていいぞ」
キモ豚は床に転がるバイブを眼で指して言った。
「しません、そんなこと」
早紀は力なく口答えした。
「まだ目覚めていないようだが、お前にはスケベの素質がある。先生がじっくり育ててやろう。女として花開かせてやる」
早紀はキモ豚の屈辱的な物言いを無視して窓の外を眺めた。
車はタワーマンションの前で停まった。駐車場に入る。
「着いたぞ」
「えっ、このマンションですか」
――高校教師って、こんな立派なマンションに住めるぐらい稼ぎが良いんだろうか。
建って数年しか経過していないと思われる、天にそびえるようなタワーマンションを見上げて、早紀は疑問に思った。
オートロックの玄関から建物に入り、エレベーターに乗って、最上階にあるキモ豚の部屋に着いた。
「さ、入れ入れ」
玄関に足を踏み入れて、早紀は絶句した。こぎれいな外観から想像できないありさまだった。
玄関も、そのさきに続く廊下も、ものであふれている。饐えたにおいで呼吸が苦しい。使用済みの靴下やトランクスが丸まった状態で放置され、ビールの空き缶が並び、中途半端に中身の入ったペットボトルが転がっている。肌色の写真とぎらぎらした文字が下品な雑誌が眼にとまった。エッチな雑誌だった。あわてて眼を逸らす。
キモ豚の後ろを歩きながら、早紀はあることに気付いた。
あっ、あっ、あっ、あっ……と甘ったるい声がかすかに聞こえてくるのだ。女のひとの、それもいかがわしい嬌声に似た声が。
――だれか、いる? それも女のひとが? それともAVがつけっぱなしなのかな?
ごくり、と早紀は唾を呑んだ。
キモ豚はある部屋のドアを開けた。その部屋もやはりおぞましいほど散らかっていた。中心に万年床とおぼしき布団が敷かれている。
そこには、全裸の女が寝ていた。股を大きく開く姿勢で、手と脚を革の拘束具で縛られている。