き-6
「だろ?」
ニヤッと笑ったその顔がいたずらっ子のようでかわいい。
そのベッドに座ると両手を広げて
「おいで」
といった。
まだ外は明るくて
全面の窓から夕日が差し込んでいた。
その夕日をバックに両手を広げる石島さんが
ただ立ち尽くしている私をじっと見守っていた。
「あ・・・の」
「ん?」
ただただやさしく微笑んでくれるその笑顔は
大学時代の人気者の石島さんそのもので。
「由香里。おいで。
一緒に夕陽を見ながら抱き合いたい」
私の名前を呼び捨てで呼んでいるのが不思議だった。
その広げられた腕の中に吸い寄せられるように歩き出す。
手が届く距離になってもせかさずにじっと待つ。
私は目の前に立って、座っている石島さんを見つめた。
私を見て満足そうに笑った石島さんは
広げていた手を私の背中で交差させて私のおなかあたりに顔をうずめた。
「由香里。好きだよ」
思いもしなかったその言葉に一瞬びくっとした。
そんな私の反応を見越していたように自分の膝の上に私を座らせる。
「由香里」
ゆっくりと手を頬にあて、ゆっくりとキスを繰り返す。
何回も何回もキスを繰り返した。