女として、母として-1
子作りをした経験があるから、わかる。
中出しをしたあとの処理は、とにかくスピードが大事なのだと。
私の膣内に、ドクドクと注がれる輝くんの精。
互いに息を弾ませながら、労うような優しいキスをしながら、私達の久しぶりのセックスは終わったけれど、次の瞬間には。
「輝くん! ティッシュティッシュ!!」
「え、どこだよ!?」
「ホラ、後ろ! ベッドの横のサイドテーブル!」
なんて、まるで色気もなく騒ぎ出す私達。
しかもぺニスを抜いた後は、膣から精液が垂れてシーツを汚してしまうから、ティッシュを手にするまでは、必然的に局部を高々に天井に向ける、所謂「まんぐり返し」のポーズになるのだ。
輝くんのエロ動画コレクションには、もちろん中出しものもあったんだけど、それだってフィニッシュは、中出しして、ぺニスを抜いてヴァギナから精液が垂れてくるのを映して終わり。
でも、実際はシーツを汚さないよう、こんな間抜けな格好をしないといけない。
他のカップルはどうかはわからないけど、中出しをして、どこも汚さないで美しく終わる方法があったら教えて欲しい。
……ホント、エロ動画みたいにイッて終わりで済めば格好いいんだけどね。
ティッシュを数枚、彼から受け取った私は、ようやく脚を下ろし、用を足した後みたいに局部を拭き取りながら苦笑いになる。
そんな私と目が合った輝くんは、「ぶはっ」と噴き出しながら私の隣に腰を下ろした。
「なんで笑うのよ」
「いや、中出しするとすげー大変なんだなって」
他人事みたいに笑う彼に、思わず頬が膨らんでしまう。
確かに中に欲しいと言ったのは私だけど、なんかデリカシーがない。
セックスしてる時の輝くんとはまるで別人みたいに、平常モードに戻ってしまった彼に、小さなため息が出た。
「しょうがないでしょ、エロ動画と違って二人ともイッて、はい終わりってわけにはいかないんだから」
「まあ、そうだな」
「私達はエッチして終わりってわけじゃない、これからもずっと続く、夫婦なんだから」
ジロリと輝くんを睨み付けるけど、彼は目を細めて私の髪に手を伸ばした。