終わりよければすべてよし-9
「あっ……、いや……待っ……」
抱かれるなんてどれくらいぶりだっただろう。
瑠璃が生まれてからは、気持ちは母親モードになってしまい、輝くんと身体を重ねた覚えがほとんどない。
あったとしても、瑠璃のことが気になるから集中できないおざなりなセックスばかりだったかもしれない。
でも、今は瑠璃がいない二人だけの世界。
そのせいか、輝くんの愛撫の一つ一つに身体が小さく反応してしまう。
だけど、ご無沙汰だと声が出るのすら恥ずかしくて、まるで初体験の時みたいに身体が強張っていた。
「可愛いよ、里枝」
「ひっ!」
鎖骨や谷間、脇の下まで丹念に舌で愛撫されると、涙が出るほど気持ちがいい。
やっぱり1人でするのより段違いの快楽に、控えめな声が時々大きくなる。
すると、輝くんはわざとそこをじっくり責めるのだ。
私の乳房の先をそっと咥える輝くん。
舌先で何度も弾いたり、もう片方の乳首を指で少し強く弾いたり。
何度もじっくり責められていると乳房にまで鳥肌が立ってしまう。
「ああん……、て……輝くん、そんなにしないで……」
「何で?」
「へ、変になっちゃ……あんっ!」
軽く乳首を甘噛みされると、背中が思わず仰け反った。
「変になれよ」
胸への愛撫を中断した輝くんは、視線だけをこちらに向けた。
その鋭い自然に、ドキンと胸が高鳴る。
「な、なんか久しぶりだから恥ずかしくて……」
「今更恥ずかしいの?」
「今更だから恥ずかしいのよ……」
それがおかしかったのか、彼は片眉を上げてフッと笑う。
「俺はずっと待ってたんだけど、こうやってまた里枝を抱ける日を」
「え?」
「俺って偉いよな。長いことお預け食らわされても、浮気一つしないんだもん。まあ、エロ動画はいっぱい観てたけど」
そう言って私の胸に顔を埋める輝くんを見てると、彼の書斎でみたエロ動画の女達が浮かんで思わず苦笑いになった。