終わりよければすべてよし-5
「待ち合わせ場所に、オシャレしてきた里枝を見て、ヤバいって思ってたんだよね」
「え、何が?」
「普段見慣れてる里枝とは雰囲気が全然違うからさ。
……見た瞬間、抱きたいって思った」
「…………!」
思いも寄らない言葉に声を失っていると、
「だけどデート開始早々、そんなん言ったら変態じゃんか?」
と、冗談めかして笑う輝くん。
だけど、私はわかるんだ。
言いにくいことを言うときは、必ずおどけた口調になってしまう、彼のクセを。
だから、私は胸を高鳴らせて彼の言葉を待つ。
「だからなるべくそういう邪な気持ちを忘れようとデートそのものを楽しむつもりだったけれど、正直限界だった」
「パパ……」
「……倒れたから、無理強いはしないけど、もしお前さえよければ抱かせて下さい」
だけど、最後に真面目な顔でそう言われると、身体の芯が熱くなった。
◇
「終わりよければすべてよし」なんてことわざがふと頭を過った。
ぶっちゃけデートの目的は、セックスレス解消だったから、最終的には「綺麗になってラブラブデート大作戦」は成功だったのかもしれない。
しかも、ラブホで休憩なんかじゃなく、まさかスプレンディード・ガーデン・ホテルに泊まれるなんて……。
シャワーで汗を流し、バスタオルを巻いた私は、コクリと生唾を飲み込んで、これから抱かれることを噛み締めるようにベッドまで歩いていく。
大きなベッドの縁に腰を掛けているのは、先にシャワーを浴びた輝くんだ。
ダブルしか空いていなかったと彼は申し訳なさそうに言ってたけど、このダブルだってクイーンサイズくらいあるし、普段は狭い部屋で親子3人で寝てるから、充分広く感じる。
それに、これから起こることを考えたらベッドの大きさなんてどうでもよかった。