終わりよければすべてよし-4
「な、この足で水族館なんて無理だろう?」
「……うん」
だだっ子を宥めるように、ゆっくり言われると頷くしか出来ない。
「……でも、俺は水族館行けなくなってよかったかも」
「え? どうして!?」
そんなことを言われ、血の気がサッと引いていくような感覚に陥った。
輝くん、もしかしてデート自体が乗り気じゃなかったのだろうか?
悪いことばかりが次々に浮かんできて、心臓がバクバク落ち着かなくなる。
そして、そんな私をチラチラ見ては目を逸らしてばかりの挙動不審な彼は、何かを決意したのか、咳払いを一つしてから、真っ直ぐにこちらを見た。
バクバクしていた心臓は、今度はドッカンドッカン爆発しそうになる。
死刑宣告を待つような気持ちだから、今度は私がまともに輝くんの顔を見ることが出来ないでいると。
「早く二人きりになりたかったから」
と、彼はそれだけ言って私の唇にキスをした。
「んっ……」
久しぶりに交わしたキスの感触に、身体全体がビクンと痙攣した。
キスで感じることなんて久しくなかったのに、今の私はまるで、ファーストキスを経験した時と同じくらい胸がキュンと締め付けられた。
でも、私達は大人と呼ばれるような年齢。
そんな男女のキスは触れるだけの可愛いそれで終わるはずがなく。
輝くんは容赦なく私の唇の隙間に舌を割り入れ、私のそれと絡ませてきた。
「ちょっと待って」と言いたかったけれど、それすらの間すら与えてくれず、彼の深いキスは私を求めていた。
だけど、求めていたのは私だって同じだ。
最初こそ、不意打ちのキスに翻弄されっぱなしだったけど、やがてぎこちなくも自分も求め出すと、互いの舌が交わす音が淫らに部屋に響き始めた。
輝くんの腕の中で、しばらく交わしあっていた舌が離れると、彼は少し息を荒げた状態で口を開いた。