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籠鳥 〜溺愛〜
【女性向け 官能小説】

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14章-3


 脇腹まで辿っていた鏡哉の掌が、美冬の両足を大きく割り開く。

 上半身の愛撫だけでしとどに濡れたそこに、鏡哉が顔をうずめる。

「ああ、美冬の厭らしい香りがする」

「やぁっ!?」

 そんなところの匂いを言われた美冬は、あまりの恥ずかしさに両手で顔を覆ってしまう。

 ぴちゃぴちゃと音を立ててそこを舐める鏡哉のサラサラの髪に、思わず縋り付いてしまう。 

 そこを舐められるのは恥ずかしいし、鏡哉の体に縋ることができないのでいつまでたっても慣れない。

「はあっ、あぁん……あぁ」 

 恥ずかしいのに零れる自分の甘い声。

 ぴちゃりという水音が、美冬の意識を遠いどこかへ連れ去ろうとする。

 頭の芯がぼうとしてくる。

 ごぽり。

 耳のそばで大きな水音がした気がした。

 まるで水に潜っているような――。

(………)

「……ぁ……ぅ……」

 自分の声が遠くに聞こえる。

 こぽこぽ……。

 また鼓膜を震わす水音。

(ああ、そうだ。プールの中で鏡哉さんとしたキス……こんな感じだった)

 すべてが温かい水に満たされ、感じるのは鏡哉の唇だけ――。

 うっすらと瞼を開くとそこには水色に澄み渡る水面が見えた。

「………」

 水しかない、酸素のない世界。





 まるで今の自分が置かれている世界の様な――。






「―――! 美冬っ!?」

 耳元で大きな声で呼ばれ、美冬ははっと瞳を見開いた。

「………っ!?」

 苦しい、息ができない。

 目の前には鏡哉の心配そうな顔がある。

(鏡哉さんっ!!)

「息、息吸って、美冬!」

 そう言われ口を開くと、鏡哉に口移しで酸素が吹き込まれた。

「けほ……ごほ」

 美冬は苦しさから咳を繰り返す。

 鏡哉の温かい掌で背中を擦られる。

「わ、私――?」

 状況が把握できなくて、美冬は不安になって尋ねる。

「抱いていたらいきなり声がしなくなったんだ。そしたら美冬、息をしていなくて」

「………」

「驚いたよ……」

 鏡哉はそう言って広い胸の中に美冬を抱きしめた。

 その鏡哉の体が、心なしか震えていた。

「ご、ごめんなさい。心配かけて……」

 美冬は焦って、鏡哉の背中に回した腕でその大きな体を摩る。



「いや、泳いで疲れてるのかも。もう、寝よう」

 鏡哉はそう言って、美冬の長い髪を指で愛おしそうに梳く。  

「やだっ!!」

 気が付くと美冬は叫んでいた。

「美冬?」

 驚いた顔をした鏡哉が体を離して美冬を覗き込んでくる。

 心の奥底からそこはかとない不安が押し寄せ、美冬は恐ろしくなる。

「抱いてくれなきゃ、や……」  

 美冬は必死な顔で鏡哉を見つめる。

「鏡哉さんで、いっぱいにして――」

 瞼を閉じ、目の前の鏡哉に自分からキスをする。

 前に教えられたとおり、深い深いキスを。

 くちゅくちゅという音を立てて鏡哉の中を貪っていると、鏡哉が動きいつの間にか口内を蹂躙されていた。

「もう、欲しい……」

 唇を離してそう言った自分が、美冬は信じられなかった。

 鏡哉は面食らったような表情を一瞬見せたが、数秒後、それは欲情した雄のものに変化する。

 美しい、美冬にしか見せないその表情。

「知らないぞ」

 鏡哉はそう吐き捨てると、美冬の足を割り開いてひたひたに潤ったそこに己の欲望をねじ入れた。

「あ、ああぁっ! 鏡哉さん……っ!」

 美冬から切ない喘ぎが漏れる。

 鏡哉はいつもより尚早に腰を動かし始める。

 気持ちいいリズムで美冬の体が揺さぶられる。

 自分の生白い両足が、はしたなく鏡哉の両脇で揺れているのが目に入り恥ずかしい。  

 そう思うと、鏡哉のそれを無意識に締め付けてしまう。

「ああ、美冬、美冬……」

 熱に浮かされたように鏡哉が自分の名を呼ぶ。  

 すると美冬の心もひたひたに潤い始める。




(好き、好き。だから、

 鏡哉さんしか、いらない――)




 美冬は鏡哉の首にぎゅっとしがみつくと、背をのけぞらして果てた。






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