心-4
「結婚したくても彼女がいないからな」
「うそ!ゲイなの?」
思わず出た言葉に美香が私を思いっきりつねった。
そんな私たちの一連の行動を、お酒のせいも手伝って
石島さんは大笑いした。
「ゲイじゃない。女の子大好きだし」
「でしょうね」
また美香につねられる。
「だって、大学時代はいつも綺麗な彼女をとっかえひっかえだったじゃない」
美香に失言の言い訳するように言うと
石島さんは口元だけ笑った顔で
「欲しい女は手に入らないんだ」
といった。
その冷たい目にゾクっとした。
「他の女じゃ代わりにならないって気付いたから。
彼女を作るのはやめたんだよ」
今まで私たちが知ってる石島さんのイメージとは程遠い声だった。
「そう・・・なんですか」
「君たちは何で結婚しないの?」
「イタイ事を平気で聞きますねぇ」
なんだろう。ガラリと雰囲気が変わった。
石島さんの顔が、いつもの顔に戻った。
「私は長年の彼氏がいるんですけどね。
結婚のタイミングを外したというか。そんな感じです」
美香はもう付き合って長い彼氏がいる。
結婚の約束はしているくせに
結婚をしない。