不良少年-3
(殺される)
ナオキは振り向きもせずに非常階段をかけ降りて、路地を走り、物陰に隠れ、追われる獲物さながらに街を逃げた。
「おーい、待ちなよ。どこ行くんだよ」
不良少年は2人、3人ごとグループになって後を追う。
彼らは急いで追いかけるような素振りをみせなかったが、それでいてナオキが身を隠す先に必ず現れた。
彼らは街を熟知していた。逃走ルートを把握して、行く手を遮り、巧みに逃げる方角を絞らせ追い込んでいく。
そして……。
たった今、ついに追い詰められたのだった。
「さあ、こっち来な」
ケンジはニタつきながら言った。
ナオキは駆け出して少年達の合間をすり抜けようとしたが、あえなく腕を捕らえられてしまった。
「は、離せ!」
「連れないことを言うなって。なにも命までとろうってんじゃないんだからよ」
次の瞬間、ケンジの拳が腹に食い込んだ。
「ぐふっ」
「まあ、あんまり聞き分けがないようなら、わからねえけどな」
そう脅しておいてから、ケンジは仲間の少年に指示をした。
大柄な少年が苦悶に身を折るナオキを軽々と担ぎ上げる。
「さて、どこにする?」
「そうだな……“病院”がいいだろ」
「よっしゃ」