投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

被虐少年
【同性愛♂ 官能小説】

被虐少年の最初へ 被虐少年 11 被虐少年 13 被虐少年の最後へ

不良少年-2

 行くあてがあったわけではない。
 それどころか自分がどこをどう歩いたのかさえ、よく憶えていない。
 街の喧騒をぼんやり聴きながら、機械的に足を運んでいるにすぎなかった。


「あれ……お前、見た顔だな」


 そんなナオキに声をかけたのがケンジだった。


「どうしたよ。らしくねえな優等生が、こんな時間に」

「別に、ちょっと……歩いてるだけ」

「目立つだろ。制服だと」


 はじめて会話をした不良少年は、思っていたより気さくな印象だった。
 事情を詮索することなく気前よく食事を奢ってくれ、


「どうせ寝ぐらもないんだろ」


 と、宿泊の場所まで紹介してくれると言う。
 だが……親切な素振りも魂胆があってのことだった。
 案内されたマンションの部屋には、ケンジと同じような少年達がたむろしていた。
 室内はあきらかに煙草とは異なる煙が充満し、空き缶に押し込まれた吸い殻がまだくすぶっているのに、もう次を咥えて煙を立ちのぼらせている。


「あはは、誰よ、こいつ」


 ただでさえ尋常でない目付きが好色に血走るのをみて、ナオキは踵を返し逃げ出した。
 それに感づくことができたのは、決して癒されない痛みを身体に刻み込まれた、哀しい代償かもしれない。
 性欲の捌け口とみなされる恐怖。
 それも突発的な衝動の餌食にされた最初の晩よりも、明らかな意思によって凌辱の限りを尽くされた二日目の晩。
 アキオのそれをさらに凶暴に、さらに残酷に、狂気すら感じる危険な気配……。


被虐少年の最初へ 被虐少年 11 被虐少年 13 被虐少年の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前