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そして16年目の恋模様(クラス1-AB)
【女性向け 官能小説】

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結婚式-3

新郎新婦紹介に続き、ウエディングケーキ入刀。このケーキはケーキ屋を営む千尋の同級生の実家に頼んだ。

祝辞、乾杯の後は食事と歓談の時間。後の余興の時間は打ち合わせの時点で少なめにしていた。何しろ女生徒たちが千尋と一緒に写真を撮るために、結構時間が掛かると予想したからだ。

案の定、千尋の周りに生徒達が殺到した。勿論、千尋とオレを囲む写真も多く撮られたが、中にはオレとのツーショットを望む子までいた。

千尋が大勢の生徒に囲まれる中、オレはこっそり白石先生とツーショット写真を撮った。これは白石先生の起っての希望だったので、世話になった関係上、断れなかった。そういうことだ。

一通りそれが過ぎ、賑やかな歓談の時間を過ごすと、お色直しの時間になった。ウエディングドレス姿の千尋の退場が惜しまれた。オレはそう思った。

千尋の白無垢姿の再登場も湧いた。若い者が多いとその反応が楽しい。オレの紋付き袴姿にも惚れぼれと見る者も居るだろう。席についてしばらくして、チラリと白石先生を見ると、オレの会社の後輩と話し込んでいた。明日以降、後輩に強く当たらないようにしなくては。

時間は過ぎていく。

千尋の両親への手紙を朗読する時間となった。

手紙を手にした千尋と共に指定された場所に立った。打ち合わせの時に司会の人に頼もうかと言ったが、千尋は自分で読みたいと言ったので任せた。

千尋が手紙に目を落として書かれた手紙を読み始めた。

「天国のお母さん…」

その出だしでいきなり千尋がつまずいた。涙を流した顔を伏せ、嗚咽で言葉にならなかった。

「千尋、大丈夫よ、ゆっくりでいいから」

千尋の同級生の1人が優しく励ますと、それに続いて次々に同級生達が励ましの声を掛けた。

皆が千尋を応援する姿に慎吾は元より、祖父の武弘まで感極まって嗚咽を堪えていた。

皆の励ましを受けて、千尋が嗚咽を堪えながら続けた。

―天国のお母さん、そのお母さんが大好きなお父さん。

今日、私は2人の親友の浩太にいのお嫁さんになりました。浩太にいがどんな人か説明しなくていいよね。2人が18年間も親友で有り続けられた通り、とてもステキな人なので心配はしないでね。

お母さんが天国に行ってから『千尋の花嫁姿を見せたかった』がお父さんの口癖になったよね。でも大丈夫だよ。楽しいことが大好きだったお母さんは、絶対に見てくれてるから。

若しかしたらそれを見たくなったお母さんが、天国から応援に来たから結婚できたかもって思ってるくらいだよ。

千尋はお父さんとお母さんのように、浩太にいと一緒にいつも笑いの絶えない家庭を築きます。だからお父さんは孫を抱きながら、お母さんは天国で、今まで通りに温かく見守っていてね。

16年間、育ててくれてありがとうございました。

16年間、ずっと愛してくれてありがとうございました。

千尋は幸せになります―

時々つっかえたり、嗚咽で聞き取り難いところも有ったが、その手紙はきっと天国の知子に届いたことだろう。オレはそう思った。

何故なら慎吾の横で、慎吾と同じように号泣する知子の姿がオレには見えていたからだ。それがいつもの妄想だろうと何だろうと構わない。オレは知子が千尋の姿を見て感激していることを確信していた。

この日、皆に祝福された2人は世界で一番幸せな夫婦になった。




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