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そして16年目の恋模様(クラス1-AB)
【女性向け 官能小説】

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結婚式-2

係りの人に付いていく。次のテーブルに着た時、一斉に喚声が上がった。ビックリして顔を上げた千尋が眩しい目を凝らした瞬間、泣き崩れてしまった。

少しやり過ぎたか…。

そこには千尋のクラスメート全員と、バトミントン部の仲間が居たからだ。

「千尋、おめでとう」「千尋、綺麗」「真下、頑張れ」「皆で応援してるぞ」etc.etc

飾り気の無い祝福の言葉が会場を埋め尽くす。そんなことを予想もしなかった千尋は顔をぐしゃぐしゃにして号泣した。

いきなりキャンドルサービスで入場したのは、この演出のためだった。真っ暗な会場内で生徒達はテーブルの下に隠れてくれていた。そして、友人席に千尋が来た時に、一斉に姿を現してくれた。全て白石先生と生徒達の考えだった。

これは元々千尋の3人の友達と、白石先生が段取りしてくれたことだった。白石先生は各先生に働き掛け、校長、教育委員会、PTAを白石先生が説得し、反対する生徒の父兄には3人が手分けをして説得に当たった。生徒の纏まる姿勢に共感した父兄が、更に腰の重い教育委員会に説得しに行ってくれた。本当に千尋の結婚を皆が応援してくれていた。

費用の面は慎吾とオレの父親が面倒をみた。慎吾は過払い請求の案件で、数年前にしこたま稼いでいたはずだし、父親は千尋が喜ぶなら何でも協力したいと言っていた。

初めは高校生は会費も祝儀も一切無しにしていたが、父兄の方から逆に払わせろとの意見が出てきた。結局、色んな意見を纏めて一律3千円の会費を集めた。

会場はその話が出た時に変更していた。幸いに大きな会場が空いていた。式まで2週間を切っていたので、普通では考えられなかった。なぜか知らないが、コンピュータの誤操作で、オレが変更の申し出をするまで、別件の予約が入っていたようになっていたそうだ。オレが申し込んだ時に、それがわかり、難なく変更できたのだった。

オレも生徒達が千尋を祝福する声に感極まって泣きそうに成った。しかし…

「真下、このおっさんが嫌になったらオレのところに来いよ」「そうだそうだ、おっさん、真下を泣かしたら赦さねーぞ」「おっさんが泣いてんじゃねーの」etc.etc

この大歓迎?の声に、溢れそうになった涙が引っ込んだ。

「うるせークソガキども、お前らより千尋との付き合いは長いんだ。千尋を絶対に嫌にさせたりはしないし、泣かしたりするもんか」

思わず、半分も歳が下の高校生相手にむきになってしまった。しかし、その言葉に高校生は真っ向から応えてくれた。

「ヒューヒュー、おっさんかっこいいぞ」「頼んだぞ、おっさん」「応援するぞ、おっさん」etc.etc

「うるせ―、おっさんじゃね―!でも、ありがとうよ、クソガキども―」

また、むきになってしまった。イカン、今日は本店の営業部長も来ているのに。チラリと重役の座る主賓席を見ると、その重役が楽しそうにバカ笑いをしていたので、ほっと安心をした。

千尋もオレと男子生徒とのやり取りを聞いて、泣きながら笑っていた。

嵐のような席を過ぎると、今度はオレの友人達だ。

「このインコー野郎」「ロリコン野郎」「変態野郎」etc.etc

16歳の花嫁に嫉妬したのか、オレには滅茶苦茶言いやがる。しかし、一点可愛い千尋の姿には一応に優しく声を掛けてくれた。

「千尋ちゃん可愛い」「可愛い、佐々木にはもったいねー」「千尋ちゃんは学校が有るから家事はロリコン野郎にやらしなよ」etc.etc

「お前らもうるせー!」

主賓席に向かった。会社の重役はにこやかに迎えてくれた。

「何回も結婚式に出たが、こんなに楽しくて胸が熱くなったのは初めてだ。呼んでくれてありがとう。佐々木もこれでようやく一人前だな」

「ありがとうございます」

素直に頭を下げた。

「千尋さんもこいつをしっかりフォローして下さいね」

「はい」

ハッキリと返事し深々と頭を下げた。重役は満足そうに何度も頷いた。千尋効果でボーナス上がらないかな。

千尋の来賓の白石先生の席に移った。にこやかに微笑む白石先生も華々しかったが、さすがに今日の千尋には比べるほどもない。だから腕に痛みは走らないはずだ。

「千尋ちゃん、おめでとう」

「先生〜」

千尋がまた泣き始めた。

「先生、本当にありがとうございました。こんな素敵な式になったのは先生のおかげです」

千尋のことを思ってくれた白石先生にお礼を伝え、泣き顔の千尋と共に頭を下げた。

「あたしよりも生徒達を褒めてあげて下さい。それよりもこれで千尋ちゃんと本当の夫婦になっちゃったから、佐々木さんのことは諦めなくちゃね」

白石先生はコロコロ笑いながら言った。

「先生、またそんなことを言って〜」

満更でもないな。オレの顔がついつい弛んだ。しかし、案の定、その直ぐ後に、腕に激痛が走った。

全ての席を回った後、最後にキャンドルタワーに火をつけた。これからのオレ達を人生を現すように、ゆっくりゆっくりと、そして着実に明るい火は登っていった。


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