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そして16年目の恋模様(クラス1-AB)
【女性向け 官能小説】

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ハードル-3

「こら、千尋、先生が迷惑されてるだろ。離しなさい」

オレの声でようやく千尋が白石先生を解放した。

「ガキですみません」

保護者の立場で頭を下げた。

「イエイエ、いつものことですから」

「先生、千尋っていつもこんな感じなんですか?」

「ええ、そうです。千尋ちゃんの居る場所は直ぐにわかります。そこだけ賑やかで、明るくなりますからね。でも、今日はいつにも増してテンションが高めかしらね」

18年前を思い出す。16歳の知子と同じだった。そう思った瞬間、オレはハッとして知子の想い出を頭から振り払った。

「先生、ハシャイでごめんなさーい」

千尋は頭を下げた。

「千尋ちゃん、素敵な人を見つけたわね」

「でしょう。ハンサムだし、かっこいいし、包容力も有るし、チョー素敵でしょ。ただ1つおじさんなのが玉に傷かな」

「あら、そんなことを言うなら、先生が佐々木さんを誘惑しちゃうわよ。どちらかと言えば、先生との年齢差の方が無理が無さそうだし」

白石先生がチラチラオレを見た。なるほど、この先生の方が無理は無いか。結構美人だしな。

「何考えてるのよ!」

突然、腕に痛みを感じた。見ると千尋が抓っていた。

「浮気はダメだからね!先生も変なこと言わないで」

「ほほほ、ごめんなさい。ついつい羨ましくって」

「わかったらいいのよ。で、先生、お願いが有るの。いいかな?」

千尋が気持ちを切り替えて言った。

「あら、何かしら?」

「あたし達の結婚式だけど出席してくれますか」

「こら、立ち話で頼むことじゃないだろ」

オレは唐突に頼んだ千尋を窘めた。

「イエイエ、気になさらないで下さい」

「そうですか、じゃあお言葉に甘えて。先生のお立場から難しいかもしれませんが、もし、可能ならば私からもお願いいたします」

白石先生の立場を考えると、無理強いはできない。しかし、少しでも千尋の来賓席を増やしてあげたいオレは頭を下げた。

「ご招待いただけるの?」

白石先生が嬉しそうに言った。この担任教師、本当に好感が持てる。千尋という相手が居なかったら、知子に成り代わる存在になったかもしれない。オレの邪な考えを読んだのか、千尋が睨んできた。勘のいいやつだ。浮気は絶対にできそうに無いな。

「ええ、もちろんです」

千尋を無視して、白石先生に微笑んで返した。

「いててっ!」

腕に激痛が走った。

「どちらにしても、今後の教師生活でこんな機会は滅多に無いと思います。問題になろうがなるまいが絶対に式に出ますからね」

若い担任教師の白石先生の宣言は心強かった。




3日後、校長に呼び出された。学校としても結婚を認めるとのことだった。

ただし、結婚をしたことは内密にして欲しいことと、できれば妊娠も控えて欲しいとの希望だった。あくまでも希望で条件ではなかった。オレがまた、それを楯に人権を言いだすのを予防したのだろう。

基本的にクラスメートを式に呼ぶのは控えることにしていた。千尋には可哀想だが、父兄が快く思わないだろうし、それこそ、千尋の学校生活に支障をきたすことが考えられた。

それは卒業後に改めて披露宴をしようということで 千尋は納得していた。

「別にいいのに」

千尋はそう言うが、やはり人並みのことはしてやりたいと思った。

しかし、どうしても3人の友人だけは、式に呼びたいと言っていたので、校長には初めの希望は飲めないと伝えた。

「うう〜、そこを何とか」

苦しそうな校長の顔を見て、可哀想になった。

「その子たちに一応口止めはします。でも、それ以上は責任は持てません」

妥協案を伝えると、校長は深く頭を下げた。


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