白き流路-2
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夕飯も済んでお風呂から上がってきた時、ちょうどトイレから出てきた慎吾に出くわした。
私は全裸のままだった。
タオルと一緒に持ち込んだつもりだった下着を落としてきたようなので、そっと取りに行こうとしたのだ。
年頃といっても実の息子にいまさら裸を隠すのも返って気まずく思えて、あえてそのままでいた。
「まだ起きてたの?早く寝なさいよ。」
反射的にそんな言葉を漏らしてさり気なく行き過ごす。
下着もタオルも奥の部屋。ベランダの側にあるのだけど、きっと途中で落としているはず。
とにかく、それを探すべくキッチンの電気のスイッチを手探りする。
すぐ後ろに気配を感じて振り返ろうとすると同時に乳房を掴まれた。
「ちょっと・・ちょっと・・どうしたの!?」
後ろから乳首を痛いほど、ぎゅっと摘まれる。
咄嗟に腕を前に組んでその肘で手を払い退けようとした。
ここには私と息子の慎吾のふたりしかいない。当然の事だし、締め付けてくる腕はあの子のものだった。
首の後ろに息があたって、その吐息はどこか不憫な感情を誘っていた。
その感情とは裏腹に反射的に体は動いて、乳房に強く絡みつく片方の手を跳ね除けた。
引き剥がされた腕は行き場を失い、掴んだままの私の手を引きずりながら今度は股間へと伸びてしまった。
生意気になってもおっぱいが恋しくなるというなら、何となく分からないでもない。
だけど、いくらなんでもソコが懐かしいはずはないだろう・・・
硬い陰毛に手首が擦れ、指先がその下に潜む柔らかな肉襞を弄び出せば息が止まる。
「あぁっ・・・あっ・・」
逃れようと後ずされば覆い被さる体になおさら、すっぽりと包まれてしまう。
どうなるんだろう?・・・
お風呂から上がったそれとは明らかに違う体の火照りが顔を染めていくのが分かった。
息がつまって気が遠くなり、膝がゆっくりと崩れ落ちた。
ふと、気がついた時。硬いキッチンの床の上に倒れ込み、慎吾は私の上で乳房を吸っている。
空白だった。たぶんそのようなものだった。
私はそれに関心を払う事もないように体を起こし、再び浴室に向かって行った。
捻ったばかりのシャワーはまだ肌に冷い。
だんだんと温かみを帯びていく水流を股間にあてがって息子が体に残したものを洗い流した。
腰から下は温かいけど、背中は妙に冷えている感じがする。
少し肩も温めようか、とも思ったけどそう思うだけで拡げた膣の中をひたすら熱し続けているばかりだった。
私はそれからも平穏だった。
次の朝も職場に行き、普段と何も変わらず4時までのパートをやり過ごす。
「もう、そんな年頃になったのだろう」とただそう思うようにした。
それはそうなんだろうけど、このまま忘れてしまう事はできないだろうと思う。
ならば、どうしていいのか?と考えるとまた気が遠のいてしまいそうになる。
息子に犯されてしまったなどと誰にも言えないし、あるいは努めて重く考えまいともした。
男の子がセックスに関心を示す事は当たり前だと考える。
それはそうなんだろうけど、その対象が母親の裸だったからおかしくなるのだ。
私は・・・
キッチンでオナニーしてるところを不意に帰って来たあの子に見られてしまった事がある。
もう小学生じゃないのだから、何していたのか察しがついただろう。
あの時も今と同じような心境だったのだ。言わばこれは二回目の憂鬱といえる。