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白き流路
【母子相姦 官能小説】

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白き流路-1

穏やかな黄昏を感じた。
懐かしいというよりも私が知ろうはずもない時代のひとコマを見るような・・・
オレンジ色に染まった黄昏が行きかうすべての人々に反射して、それぞれの生活という流れからたまたまこの場所でひとつの色褪せた風景になっているように見えた。
私はこの黄昏に冬至が過ぎたら少しずつ日が長くなるというのは本当だったのだと意味もなく実感する。

その中を私はミンチ肉とバケットが入った袋を提げて歩く。
卵はまだあったし、ブラックペッパーも十分足りるだろう。
他に買い忘れているものはないだろうかと考えながら、マンションの自転車置き場にさしかかるとそこに人影をみた。

「もう、いいから早くしてよっ!」

高校生のカップルだった。
どういう流れがあったのか私の姿を見て体を離したのは男の子。
それに唇を尖らせた女の子がキスの続行を迫るように上向いて訴える。
近頃の若い子はこんなものだろうか?外国人のカップルみたいに人前でも構わずキスを交わす。
私は何も見なかったようにその場を立ち去るが、ふとそんな事を思っていた。
年格好ならうちの慎吾と変わりないぐらいだけど、息子の身には想像もつかない遠い事のように思える。
そう、もう十七歳にもなれば、彼女のひとりもできておかしくない年頃なのだ。
母親の目には気難しくなる一方で女の子に優しく言い寄る姿がどうにも想像できなかったからだ。


「今日はハンバーグにしようか?」

帰宅するとまず調理台に荷物を下ろす。
キッチンの椅子にかけてテレビを眺めている慎吾にそう話しかけた。

「パン粉あまり入れないでよ。」

「そんなに入れないわよ。」

はぐらかすように笑って答えた。お肉をつい倹約してパンで膨らせようとした事を見透かされたみたいだった。

「パン粉というより、パンが大きいんだよ。」

「あら、パン粉を使うよりバケットを削っていれた方がおいしいわよ。」

「手抜きじゃないの?・・・それ。」

「手抜きじゃない。だってパン粉買ってくるより自分で細かく削るほうが手間じゃない。」

この時間にここでテレビを眺めている事はめずらしい。
普段だったら、自分の部屋に籠もっていて、一声もかけない事が多いのだ。

「もう、いいから早くしてよっ!腹減っちゃったよ。」

ここにいる慎吾が発した言葉はさっきの女の子と同じ言葉。
偶然そうなのだけど、この時には何か不思議な呪文のように私には聞こえた。



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