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プラネタリウム
【ラブコメ 官能小説】

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F.-7

「ビール、飲む?」
「おー!洋平やるー!」
明日は休みだから、とみんなには言ってある。
みんなも休みらしい。
そんなハッピーな気持ちからか、3人は洋平が持ってきたコンビニの袋を漁り、飲酒し始めた。
「陽向ビールいる?」
「いらない」
「え、なんで?」
「眠くなっちゃうから。それに飲んだら声おかしくなるし、今日はいーや」
洋平は「やっぱモチベーション違うな、陽向は」と笑った。
「喉大事なポジションだもんな。あ、龍角散のど飴あるけどいる?これ、すげー効くよ。実はさぁ、そー言うと思って買って来たんだ」
洋平はコンビニの袋をガサゴソと漁り、陽向に飴の入った袋を手渡した。
「ありがとー!これ好き」
既に喉がやられていた陽向はしゃがれ声でお礼を言い、洋平から飴の袋をもらった。
薬品の味がするが、それがまた美味しい。
歌うようになってから重宝している品の一つだ。
「何時までだっけ?」
「今日はライブ近いから無制限でいーよって佐藤さんからお許しもらってる」
「え、マジ?じゃあ俺佐藤さんに何か買ってくるよ!」
洋平はそう言うと、ギターをスタンドに立て掛けて財布だけ持って外に行こうとした。
「あ!洋ちゃん待って!」
「え、なに?」
「寒いから着てきなよ。今夜は一番の寒さって言ってたから」
陽向は洋平のジャケットと自分のマフラーを渡すと「サンキュー!」とにこやかに笑った。
「陽向はいつも優しいね。五十嵐が羨ましい」
洋平は陽向の頭を撫でて部屋から出て行った。
「さりげなく陽向に触るよな、アイツ」
大介がボソッと言う。
「あー、大介くん嫉妬モード」
「はぁ?」
「はぁ?じゃねーし!」
2人は笑いながらアドリブのセッションを始めた。
その言葉に何の違和感も持たず、陽向はセッションに参加した。

10月29日。
陽向は緊張しながら家を出て、緊張しながらスタジオに入って行った。
「おー!陽向ちゃんお疲れ」
「お疲れ様です」
「色んなバンド誘ってくれてありがとうね」
「あはは…いえ」
「楽しみにしてる!」
「ありがとうございます!」
受付をしている佐藤に挨拶し、楽屋に入る。
「陽向お疲れ!」
「あー!お疲れー!」
顔馴染みの他のバンドの、早瀬が声をかけてくれる。
「今日は誘ってくれてありがとな!」
「いーえ。でも誘ったのあたしってか大介とかだけど」
「そーなんだ。てかさ、陽向もう社会人だよな?何してんだっけ?」
「看護師だよ」
「うっそー!え、マジで?!こんな看護師見たことねーよ!ちょーキュートな看護師じゃん!」
「あははっ!そーぉ?」
「そーだよ!俺も看病して!」
「心臓悪くなったらね」
陽向が冗談を飛ばすと早瀬はケラケラ笑った。
「うぃー!ひな!」
「ぁっ!!!」
頭を叩かれた時、後ろを振り向くと大介がいた。
湊以外に「ひな」と呼ばれたのは初めてだった。
「大介!今日はよろしくー」
陽向がニコニコしながら言うと「そんだけ?」と返された。
楽屋で色んなバンドの人たちと笑い合う。
「そろそろ始まります。よろしくお願いします!」
いつだかのタイミングに佐藤さんがやって来て楽屋に声をかけた。
「お願いしまーす!!!!!」
図太い声が楽屋に響く。
そういえば、自分以外全員男だ。
「うす」
「…った」
頭を小突かれた時「よろしくな、ボス」と言われた。
目の前にいたのはスティックを両手に持った湊だった。
「頑張って」
「お前もな」
ヒヒヒと笑うと、湊は優しく微笑みステージへと向かって行った。
このライブのオープニングを頼むに相応しいのはfive woundの他にいなかった。
彼らならやってくれるだろうと思ってた。
初めに相応しいメンツだから。
オープニングの音を聴きながら目を閉じる。
ひどく乱れた歓声、メンバーの名前を叫ぶ声、煽る声、その全てが愛おしい。
ダンスフロアに紛れたい。
その思いを閉じ込めて陽向は固く目を閉じた。


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