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good communication
【若奥さん 官能小説】

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思い通りにいかなくて-6

――ぐきゅるるるる!!


その時、自分の身体から出たとは信じられないレベルのお腹の音が鳴り響いた。


一気に静まる場内。


どうやら皮肉にも一番の見せ場であるらしい、黒幕と少年達の対峙シーンの、緊迫した沈黙の中で私の腹の虫は盛大に鳴いてしまったらしい。


咄嗟の出来事にどうしていいのかわからずに、前屈みになったまま固まる私の、頬だけがやけに熱くなっていく。


映画を観る前に少しだけ感じていた空腹感も、映画に集中にするにつれてすっかり忘れていたのに。


さらには、恥ずかしくて死にそうなところに、反対側に座っていた小学生らしき男の子が「プッ」と噴き出すもんだから、泣きたくなってしまった。


やだ、恥ずかしい!!


せっかくオシャレをして、恋人気分を取り戻すつもりだったのに、こんなんじゃ輝くんに幻滅される。


もちろん輝くんとは夫婦なんだし、今さらお腹の音くらいどってことないけれど、今日は特別な日にするため頑張って来たのに、どうして私はこうなんだろう。


穴があったら入りたいどころじゃない、このまま消えてなくなりたかった。


輝くんの反応を知るのが怖くて、両手で顔を覆い隠したまま、ひたすらギュッと目を閉じている。


もう、映画の結末なんてどうでもいい。


そう思っていると、ふと右腕をグッと掴まれる感触があった。


そしてそのまま腕を引っ張られる。


「……パパ」


恥ずかしさと気まずさで、涙目の私は彼の顔をを見つめるけれど、彼はスクリーンを見たまま、


「ほら、一番いいとこだぞ」


と、顔だけを私の方に寄せて、そう囁いた。





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