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四人の女
【熟女/人妻 官能小説】

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四人の女-52

   綿貫翔太三十五才、
         学術書籍の下書き業


 因幡久美は電車の駅で綿貫翔太と出会った。

「あら、綿貫さん、今からどちらへ」

「出版社から資料が揃ったから取りに来てくれって連絡があってね」

「そうですか、北浜まで、瑠璃さん元気にしているの?」

「さっきまで一緒だったよ」

「してきた?暫く出来ないんでしょう」

 久美は小声で隣の席の翔太に言った。

「久美さん、何時も言うこと直球だね」

「そう、、したんだ、当分できないもんね」


 綿貫翔太は新しくできたニューグリーン団地の元地主であったが、団地の造成にその殆どを売って、現在住んでいる駅近くの一等地に家敷きとそれに連なる畑を売却せずに持っている。
 
 翔太は大学理学部の物理学科を卒業。教職課程を受講しなかったので会社勤めは性に合わないと学術書を主に出版している出版社に勤めた。

 大学を卒業して、大学院に残り八年ほど理学部の各学科の講義を受けて総合的な知識を身につけた。そして、出版業界ではゴーストライターの存在を知り、自分もその様な仕事をしたいと、出版社と契約社員となって学術書を出版する学者の資料整理をする仕事に就いた。

 理化学研究所のSTAFF細胞の事件以来、資料の照査が厳しくなってきたので翔太の仕事の量が増えて、収入も増えたが費やす労力も倍増した。

 翔太は久美と別れると瑠璃のことを考えた。

 瑠璃と知り合ったのは、三ヶ月前に「原子力発電所のわかりやすい仕組」と言う一般教養書を出版社が考えて何人かの若手の物理学者と科学評論家がそれぞれ独自の意見を出して一冊の本にまとめ上げると言うもので、それぞれの意見を記録した物を翔太に渡して、出版できるような形に纏めてくれと言うものであった。

 下書きは大変に手間が掛かったが一月半掛けて書き上げてそれを編集部に持参したときに、

「綿貫君ご苦労さん、纏めるのは大変でしたろう」

 と出版の責任者から声を掛けられて、

「身体が凝っていたら良い所があるよ、君の街の歓楽街に回春エステドリームという店だよ、そこの瑠璃さん、別嬪さんでマッサージは抜群、帰りに寄ってみたら、身体がしゃんとするよ」

 と、言われて、翔太は歓楽街は知っていたが店の名前は知らず、帰途に途中下車して言われたとおりにドリームの店に寄った。

「指名は誰ですか」

「瑠璃さん、っておられますか?」

「初めてのお方ですね、瑠璃さんは今施術中です、それにまだ二人お待ちですから、十時過ぎになります」

「そうですか、友達に教えて貰って来たのですが」

「予約をしておかれて、時間までにここへ戻ってこられては如何ですか」

「そうですね、予約をしておきます」

「一時間三十分の施術時間で宜しいですか、二万円が予約料です」

「久しぶりに映画を見て時間を潰します。十時に戻ってきます」

 どうして予約なんかしたのか、運命の糸なのかな。

 電車の中で翔太は考えていた。縁は不思議なものだ、と。

 瑠璃は子供の頃に父親に連れられて祖父の瀬戸家に遊びに来ていた。翔太が中学の一年生頃に祖父に連れられて家に来ていたことを最近になって思い出した。大学生の頃に小学校六年の瑠璃を一回見かけたことがある。家で会ったか道でだったか覚えてはいないが、背が高く奇麗なことだけは印象に残っていた。

「瑠璃ですよろしくお願いいたします」

 と挨拶されて、美しい、そしてなんか男を引き寄せる
細かい網を被せられた感じがした。瀬戸の瑠璃さんとは思いもつかなかった。

 シャワーで身体を洗ってくれる裸体の瑠璃の吸い込まれそうな魅力にうっとりとした。

「どうして翔太さんとは知らずに裸体になったのかしら?初めてなのに私は気がつかなかった。翔太さんと知ってから恥ずかしかった」

 後に瑠璃は翔太に言った。

「お近づきのキス・・・・・・口を一寸開いて」

 抱かれて自分は初めて女の乳房の柔らかさを感じ。キスを経験した。そっと口内に侵入してきた瑠璃の柔らかい舌の感触は今も忘れない。


 ニューグリーンに住んでいるというのでタクシーで一緒に帰り、駅前の居酒屋「月亭」に寄ろうと自己紹介をした。

「綿貫翔太、三十五才です」

「綿貫さんの、私は瀬戸瑠璃です、瀬戸の孫娘です」

 初めてそこで気がついた。と同時に自分は瑠璃に恋をした。

 月亭には同級生の大東が、美成という美人を伴って食事をしていた。美成は、団地に土地を売らなかった綿田薬局の娘で。クラブまほろばのホステスをしていると知った。


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