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凡夫たちの恋
【ロリ 官能小説】

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学校-1

リリヤには、世界が何だか膜を被ってしまったように感じられた。自分と自分以外の全てのもののあいだに、越えられない透明なカーテンでもあるかのような感覚が、あのとき以来消えなかった。だから時々、自分の頬をはたいてみた。シャープペンシルで手の甲を刺してみた。するとはっと目覚めた気分にほんの暫くなることができた。裸でいるのも心地よかった。風呂場では必ず小便をした。温かい流れを脚に伝わらせると一息つけた。だが、リリヤがうちで最も落ち着けるのは、暗い部屋で空想している時と、何と呼ぶか知らない股の溝を擦っているときだった。後者はどこでもできることだから、リリヤはどこでもそれをした。スカートのポケットに手を入れて、あるいは机の角に押し付けて、また自転車に乗りながら。人前で触っていることさえあった。放課後や休みには、人気の少ない近くの湖を一人で散歩した。湖の決まった場所で用を足したあと、やはり擦った。高い位置から、透明度の高い湖面に向かって、できる限り遠く飛ばすとさっぱりした。しぶきと泡とが、私を主張しているかのようでもあった。トイレに行ってもリリヤは紙でふくことをやめてしまっていた。そうやって汚れた下着をリリヤは十日も穿き続けた。しゃがんだ脚の間から立ちのぼる濃いにおいや、うずうずした痒みと湿りとが、リリヤをぼんやりした麻痺の快感に誘うとともに、現実としての体を確かめさせてくれた。そして空想は、別な現実として昔のリリヤを住まわせてくれた。

娘が笑わなくなったと、リリヤの母親は担任の坂上によく相談していた。学校の友達関係のことを坂上はいつも持ち出すのだが、母親は、リリヤからほとんど学校のことは聞かないらしく、それよりは、自分たち夫婦の関係が悪いことを原因とみなしていた。いま、離婚の段取りを進めており、それをリリヤも知っているとのことだった。単身赴任して離れて住んでいる父親とは、電話口で喧嘩することもしばしばある。そんな時、リリヤはやはり無表情で、冷たい目をして壁を見ているのだそうだ。リリヤの「触り癖」のことも母親は毎度のように話題にした。
母親は、周りに娘のことや夫婦のことを話せる懇意な相手がいないのか、実にしばしば面談に来た。リリヤも家庭の事情も一向に変わらないので、回数の減ることがない訳である。思えば、教員と保護者との話し合いなど、素人同士のようなものであろう。つまり、共に行動を決めていく段になって、それは機能し意味がある。プロのカウンセラーですら、いつも患者とうまくいくわけではない。人生に疎い坂上に家庭問題をどうにかしてもらおうとする母親の希望が叶えられるはずがなかった。母親は、父親の仕送りで生活自体は安定しているのに働きに出ており、遅く帰ることもあったため、子育てをしっかりしているのかと、他の保護者に疑問を持たれていたが、本人にそういう問題意識はないのだった。リリヤの家庭は「困った親子」として、職員室に知られていた。クラスがこんな状況の中で坂上がどこからも槍玉に挙げられなかったのは、幸運だったと言えるだろう。さらに言えば、坂上自身、「空気の読めない」無神経さを持ちあわせていたのだろう。


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