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桜の木の下の約束
【悲恋 恋愛小説】

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桜の木の下の約束-2

そして次の日、オレは香穂と二人で近所の浜松公園という所に来ていた。「わぁ・・・見てみて、貴也!!桜が満開だよ〜?」
「おぉ、マジ綺麗だなぁ・・・まぁでも流石の桜もオレの香穂には劣るけどな!」
「・・・バカッ・・・」
桜をしばらく見物した後オレは香穂ときちんと話せるよう、ベンチに座る。
「香穂・・・今日はどうしても言わなきゃならないことがあるんだ」
「実は私も・・・先に私から話していい??」
「良いけど・・・どしたんだ?」
「えっへん、実はねっ・・・私達の赤ちゃん出来ちゃった・・・八週目だって・・・」
頬を赤く染めながら愛おしそうにお腹を撫でながら笑う香穂・・・
「本当・・・なのか?」
「うん・・・私・・・貴也との子が出来て・・・すーっごく幸せっ・・・」
「香穂・・・聞いてくれ。実はオレは・・・」
「ふむふむ、どしたの?」
少し大きく息を吸う。
「後半年でオレは死ぬんだ。」
そういった瞬間香穂は笑い出す。
「・・・や、やだなぁ、ははっ、貴也冗談きつすぎ!エイプリルフールはもうとっくに過ぎたよ?」
「・・・事実だ。」
「う、そ、・・・・」
重苦しい雰囲気と罪悪感がオレにのしかかる・・・
「・・・香穂・・・ショックなのは分かる・・・言うのが遅れて本当に悪い・・・」
香穂は無言だった、硬直していた。
「香穂・・・こっちに来て・・・??」
オレは魂が抜かれたかのような香穂をひっぱり桜の木の下に連れてくる。
「香穂、オレは死ぬ・・・だから婚約を解消したい。」
「・・・そ、そんなっ・・・絶対嫌よっ・・・ぅぅっ・・・」香穂が事実を知った後最初に発した言葉だった。「でもオレは死ぬんだ・・・君と結婚する資格は無いよ・・・子供も・・・香穂が降ろしたいなら・・・」
そこまで言うとオレはおもいっきり香穂にはたかれた。
「いい加減にしなさいよ・・・授かった命を殺せる訳ない!!さらに、世界で1番愛してる人との子供を殺せる訳ないでしょ??それに・・・私は、貴也と絶対結婚したい・・・たとえ貴也に残された時間が残り少なくても構わない・・・貴也がいなきゃ、私は生きれないの・・・ねぇ、貴也・・・式の日程を早めて一週間後結婚しましょ。ねぇお願い・・・お願いだから・・・」そこまで言うと香穂はワンワン泣き出した。
そんな香穂をオレは激しく愛おしいと感じた・・・
何故オレは死なきゃならないんだ?何故人並みに生きて香穂を幸せに出来ないんだ?なぁ、神様よ・・・あんた不公平すぎるぜ・・・
「香穂、約束してくれないか?」
しばらくして香穂が泣きやんだ頃口を開く。
「・・・な、にを?」
「オレは・・・東条貴也は宮根香穂を世界で1番愛してる、さっきはオレなりに考えて香穂につらい思いさせたくなくて、婚約破棄を申し込もうとしたが・・・無理だ。香穂、オレの残り少ない余生をオレと共に過ごしてくれないか?そして約束してほしい・・・元気な香穂とオレの愛の結晶を生んでくれないか?」
「・・・・・・よ、喜んで・・・」「香穂愛してる・・・」

この一週間後オレは香穂と籍を入れた。
バンドはオレの件を隠してオレが死ぬまで続ける事がオレと他の皆の意志で決まる。だからオレは今ひたすら作曲に追われている。
その後の病気だが、必死の延命治療で半年と言われていた寿命が2年ほどに延びてくれた。
そのおかげでオレは一年後自分の娘を見れた。
そしてオレの寿命は後一年くらいだ。もう、どうあがいてもこれ以上は延びないだろう。だがまだ死まで一年もある。オレはこの間に娘を香穂を精一杯愛したい。オレの死後は・・・香穂があの桜の木の下の約束通り・・・娘を育ててくれるだろう。

end


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