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私が結婚しない理由(わけ)
【理想の恋愛 恋愛小説】

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私が結婚しない理由(わけ)-29

 ガチャンと慌ただしく山口に電話を切られた。始発はまだ運休ではなく徐行運転中だ..。

「加奈ちゃん今の所徐行運転中だけど始発は泉津駅まで行きそうだよ。乗ってきなよ。」

渡井はこの大雨の中、加奈子を家へ引き帰させるのも気の毒な気がした。少し定刻より遅れ始発電車が接祖駅にやって来た。

「じゃ加奈ちゃん、気をつけて。いってらっしゃい...。」

渡井が軽く手を降ると、加奈子もウンと頷いた。運転席のすぐ後ろ辺り、一両目前方に加奈子は乗った。渡井は発車の合図をしようと運転士に近づく。

「この先大丈夫ですかね..?電車出しますけど..。」
渡井は運転士に話しかけた。少し運転士は呆れ顔でホーム先の青信号を指差しながら言った。

「大丈夫ですかって、信号青だろが、ただでさえ徐行運転で遅れてるんだから、早く出発の指示しろよな。」
 渡井は手に持っていた出発指示用のライトで車掌に発車の合図を送り電車のドアは閉まった。ゆっくりと電車は接祖駅を離れて行く...。加奈子が車内で手を振った。渡井もそれに応じて軽く手を振り返した...。接祖駅には雨音と電車音のみが辺りに響いていた...。


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