第七話 大艦隊-3
艦隊を間近でみた三人は、その規模に驚愕した。
「おいおい……これは反則だぞ」
森口は操縦桿を握ったまま硬直した。
「なんてこった……」
西川も同じく硬直していた。清水に至っては声すら出せない。
艦隊の数はざっと見ただけで百五十はいた。今まで誰も目にしたことの無い大艦隊が、水平線の向こうまで延々と広がっていた。
「少尉。早く基地に連絡を入れませんと」
「あぁ、そうだな」
彩雲は艦隊に気付かれないように、雲に入るか入らないかのギリギリの高度を保って敵情確認に入った。
敵艦隊の数と艦種は戦艦六隻、護衛空母六隻、その他百五十を数えた。上空には直掩機が五十機以上、乱舞している。艦隊はルソン島方面に航路を取っており、同島に攻撃を加える気があるのは明白だった。
「清水! 無電だ」
「はい! 打ってます!」
森口は清水に無電連絡をするように言ったが、すでに行っていると返された。なかなか行動が早い。森口は、部下の成長を感じて一人嬉しくなったいた。