晒された少女-9
予想もしていなかった光景がそこにあった。
刑事のひとりが小型のビデオカメラを携え、そのファインダーがまっすぐ彼女に向いている。
あろうことか、全裸になった自分を撮影しているのだ。
数秒間、事態が把握できずに呆然と立ちすくんでしまった。
「そんな……」
次の瞬間、しゃがみ込んで悲鳴をあげた。
「い、いやあぁぁっ!」
「お、ナイス反応」
「何してんのよ!頭おかしいんじゃないの?」
「ほら立った、立った。隠してちゃ、ちゃんと映らないだろ」
立てるわけがない。
サヤカは胸元で腕を交差させ、自分の肩を抱くようにしてしゃがみ込んでいた。
ビデオカメラを携えた刑事が近寄っていった。
「来ないで!」
サヤカはファインダーから逃げるように身体の向きを変えたが、
「ほうら、背中をこっち向けてると。かわいいお尻がまる見えですよ」
「うるさい!馬鹿!」
言いながら手で後ろを隠すが、そうすると上体が少し起きてしまう。
すかさず刑事がファインダーで追った。
「今度は大事ながところが疎かだ。あそこの毛が少し……ちっちゃな貝は……残念ながら見えませんな」
「おい。ここに寝かせろ」
“主任”がコン、コンと机を叩くと、ビデオカメラのとは別に、刑事がふたり進み出た。
「来ないで!あっち行って!」
当然だが、サヤカは必死に抗った。
しかし屈強な男ふたりが相手とあっては、抵抗と呼べるほどのものにもなっていなかった。
両側から近づいた刑事たちは、ぐいとサヤカの腕をとると、
「離して!離せ!馬鹿!変態!」
ぎゃあぎゃあ喚いてる全裸の少女を、無理やり立たせて引きずっていき、易々と会議用の長テーブルに横たえたのだった。
サヤカは男たちの視線から逃れようと何度か身体をよじったが、その四肢はがっしりとした手で押さえられている。
をなすすべもなく照明の下に晒している彼女に“主任”が近づいた。
手が両足の膝頭にかかって、
「いや……」
震える小さな唇から、絶望の呟きが漏れた。