晒された少女-2
その時、ファイルを携えた別の刑事が部屋に入ってきた。
「主任、身許の照会きました」
「おう、どうだった」
「確かにこの生徒手帳の学校に在籍してますね」
都内でも名の通った名門……というより、富裕層の子女が通うことで有名な、中高一貫の私立校だった。
「さあて、困ったことになったな。俺達はこれでも警察官でね。このことを学校に報告しなきゃならんのだが、どう言ったもんか……」
「ちょっと!」
サヤカは勢いよく立ち上がった。
小振りなバストのシルエット。まだなだらかなウエストのくびれと、バストよりややボリュームのあるヒップのライン。すらりと伸びた長い足は、さすが現代っ子というところか。
まだあどけなさの残るサヤカだが、その立ち姿にはやがて成熟する『女性』の萌芽を感じさせる。
刑事のひとりが思わずゴクリと唾をのんだ。
「学校に言うって、それヤバいから!」
「ヤバいのは万引きされた店だっての」
「学校は駄目!」
「ふうん……ただ校則が厳しい、という感じでもなさそうだな」
主任、と呼ばれた刑事は何やら事情を嗅ぎとった様子で、
「でも仕方ないだろう。俺達だって窃盗犯を捕まえて、もうしないでね、でお帰りいただくわけにもいかんよ」
「だから、やってないってば!」
「少なくともピアスはくすねただろうが。ともあれ、まずは親御さんに連絡だ」
「駄目!駄目!親とか絶対ありえない!」
「家出か?」
“主任”は単刀直入に訊いた。
「ち、違うし。そんなんじゃ……」
直感が当たったらしい。
“主任”は心のなかでにんまりとした。
こいつは、どうにでももっていける。