おっさんの純愛-7
「あの子は近所の子なんだって。両親はあの土砂崩れで亡くなって、たまたま一緒に逃げてただけなんだけどそのまま引き取ったらしい」
親戚内で娘の押し付け合いになっていたのを見たミウが腹を立て、無理矢理に近い形で引き取った、という話だ。
「はぁ〜なんかたくましいっつうか、男前っつうか……」
「だろ?それ知ったら団長も益々惚れ直すだろうし手ぇ出すとは思うけど……」
「……教える気、無ぇだろ?」
「無いよ♪だってこっち見てる方が面白ぇもん♪」
「もん♪じゃねぇよ。この悪女」
「何だよ?アースだって言う気ねぇだろ?」
「まぁな」
2人は同時に広場に向き直り、生ぬるい笑みを浮かべる。
その視線の先では固まったままのスオウの頬に、お礼のキスをするミウの姿があった。
その顔は恋する乙女そのもので、2人が相思相愛なのを表していた。
……が
ゴールするまでにはまだまだかかりそうだな、と固まったまま動かないスオウを眺めながらアースとキャラは盛大にため息をついたのであった。
ーおっさんの純愛・完ー